岩崎華に癒し、その祖父義孝の謝罪訪問
光のピアノ伴奏、巫女たちに加わり「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を歌い終えた岩崎華は、また号泣。
その岩崎華を、華奈と柏木綾子が抱きしめる。
光と巫女たちがやさしい顔で、その様子を見ていると、再びチャイムの音。
そのチャイム音に続いて、「岩崎でございます」との壮年の男性の声。
光は、「うん」と頷いて、ピアノから離れ、玄関へ。
「どうぞお入りに」
と玄関を開けると、岩崎華の祖父、大財閥の当主が立っている。
大財閥の当主が、光に深々と頭を下げる。
「岩崎華の祖父、義孝でございます」
「今、孫娘がお伺いしていると思います」
「それから、以前には、本当に失礼なことを」
少し光に震えるような感じ。
光は、そっと岩崎義孝の肩を抱く。
「いえ、まずはリビングに、玄関先では何かと」
岩崎義孝は、ようやくその頭をあげ、光とリビングに向かう。
リビングに入った岩崎義孝は、ここでも深く謝罪。
「本当に失礼なことをいたしました」
「そんな私どもに、御恩情をかけていただき」
どうやら泣き出してしまったようだ。
その肩がまた震える。
光は、少し困って、春奈と由香利に目で合図。
春奈と由香利は、光の意図を察したようで、そのまま厨房に入る。
光が岩崎義孝に声をかける。
「まずは、そのソファに、華さんと御一緒に」
華がさっと祖父義孝の手を握る。
そして祖父義孝に、小さな声。
「光さんとみんなが、すごくやさしくて、うれしいの」
祖父義孝は孫娘華の顔を見る。
「うん、よかったな、ありがたいことだ」
岩崎華と、その祖父義孝がソファに並んで座ると、春奈と由香利が、煎茶と干菓子を全員に配る。
光が、おもむろに口を開く。
「僕たちは、もう、何も気にしていません」
「大切なことは、家族が仲良く暮らしてもらいたい、それが基本」
そしてやさしい声。
「なかなか、大きな家になると、いろんなストレスもあるのでしょうが」
「華さんは、もう大丈夫です」
「もう、一人ではありません、友達ができました」
岩崎華は、華奈と柏木綾子に、涙ながらの笑顔。
華奈と柏木綾子は、笑顔でクールサイン。
岩崎義孝は、また頭を深く下げる。
「本当に何とお礼を申し上げたらいいのやら」
「あまりの失態に、どうお詫びをしたらいいのやら」
光は、その岩崎義孝の手を握る。
「お詫び・・・というよりは・・・お詫びはいりません」
「それよりも、ご協力をいただきたいことがありまして」
少し不思議な顔で、光の顔を見た岩崎義孝に、また光が一言。
「お祖父様もご心配されている、あのビルのこと」
岩崎義孝は、「ハッ!」と驚いた顔で、光の次の言葉を待つ。




