岩崎華の謝罪、光と巫女は岩崎華を癒す
それでも光は、後ろのルシェール、由紀、キャサリンを気にしたようだ。
少し後ろを振り向いて、「このままでは」と目で合図。
そのまま、岩崎華をリビングに迎え入れる。
岩崎華は、リビングに入り、巫女たちに深く謝罪。
「本当に不愉快な思いをさせてしまいまして、申し訳ありません」
「ずっと、お詫びがしたくて、でも、怒られるかなと悩んで」
「遅くなってしまって、申し訳ありません」
声も涙でグジュグジュ、しかし言葉に正直な気持ちがしっかり込められていることはよくわかる。
由香利が、岩崎華の手を握り、そして抱きしめる。
「厳しいことを言ったけれど、わかってくれた?」
「心底、悪い女の子ではないと思ったから、厳しいことを言ったの」
「でも、こうやって、悩んだけれど、自分から謝りに来た」
「勇気がいることさ、大変だったね、よくがんばった」
岩崎華は、由香利の言葉にも感じ入ったようで、由香利に抱き付き、また号泣。
ルシェールたち、巫女は岩崎華の心の奥を読む。
ルシェール
「とにかく大財閥のお嬢様として育てられ、常に監視の中、欲求不満をぶつけるのは、まずかつての付け人田島源一、田島源一もやさしいから、そのまま鞭で打たれても我慢」
キャサリンも深く読んでいる。
「他人を傷つけたりするのは、実は何もできない自分の弱さを否定したいがため、田島源一が警察に連行されて、そのあげく屋敷から去った、自分たちのしでかしたことで、尊敬するお祖父様もピンチに」
サラ
「ますます、何もできない自分の弱さが身に染みたということかな」
春麗
「大丈夫、あれだけ真摯に謝れば、信じられる」
華奈が岩崎華に声をかけた。
「ねえ、岩崎さん、あまり泣かないでいいよ」
「今までのことは、今までのことだよ、私は気にしない」
柏木綾子も、続く。
「お友達になろうよ、私は受け入れる」
「一人で寂しかったんでしょ?」
春奈が光に、目で合図。
光も春奈の気持ちがわかったようで、ピアノに向かう。
そして弾きだした曲は、カッチーニの「アヴェマリア」。
厳かにして、深い哀しみを癒すような独特のメロディーが奏でられていく。
巫女たちは全員立ち上がり、岩崎華を囲み、合唱となる。
岩崎華は、また顔をおおい、泣いてしまう。
ソフィーは、そんな光と巫女、岩崎華を見て思った。
「光君は、まず岩崎華を浄化したいと思った」
「心底、悪い女の子ではない」
「いろいろ周囲に悩んで、そうでないと、自分のストレスが発散できなかった」
「そのストレスを、まず光君の温かみ、カッチーニのアヴェマリアの深い温かみで、浄化し消し去る」
「やさしいよね、光君」
カッチーニのアヴェマリアが終わった。
光が岩崎華に声をかけた。
「もう、泣かないでいいよ」
「華ちゃんも、コーラスに加わって欲しい」
涙目で光を見る華にウィンク、光はモーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を弾きだしている。




