楓のお願いと、無粋な光
その楓が顔を赤くしての「お願い」は、光にとっては「?」のこと、他の女子には「ふむふむ、やはり」のことだった。
楓
「あのね、斎藤さんとね、もう一度お逢いしたいの」
「だからね・・・光君・・・だからね・・・」
楓にしては、言葉が続かない。
光は首を傾げるのみ。
「ねえ、もう一度斎藤さんに逢いたいって何?」
「全く意味わからないしさ」
そして例によって、また「光ならではの無粋な言葉」を言ってしまう。
「楓ちゃん、もう一度鉄板焼きでお肉モリモリ食べたいってこと?」
「それだったら、斎藤さんでなくてもいいでしょ?」
「奈良町だって、駅前商店街でも鉄板焼きあるでしょ?」
そこまで言って、再び首を傾げてしまう。
ただ、真っ赤になって、次の言葉が言えない楓はともかく、他の巫女が焦れた。
春奈
「光君のアホ!楓ちゃんが赤くなるのは食べ物ではないの!どうしてわからないの?」
ソフィーは呆れて光の頭をポカリ。
「逢いたいけれど、自分では言えないからってことだよ、だから光君に何とかしてってこと、それくらい気がつきなさい」
しかし、まだ光はポカンとしている。
そしてまた「アホ発言」
「え?楓ちゃん、斎藤さんのスマホのアドレス教えたでしょ?」
「楓ちゃん、もしかしてスマホの使い方がわからないの?」
「そんなの僕でもわかるよ、メールの開き方はイマイチだけど」
ルシェールは光を引っぱたきたくなった。
「もーーー!どうして・・・そう無粋?アホ?楓ちゃんは自分では恥ずかしいからって遠回しに光君にチャンスを作ってって言っているの、光君のメール開きのいい加減さの話ではないの!」
と、引っぱたく体勢を取るけれど、由香利がそれを抑える。
そして楓の顔を見て、諭す。
「楓ちゃん、光君に言うのは時間の無駄だよ」
「私、斎藤君とは同学年だから、それとなくセッティングするからさ」
「だから、楓ちゃんの都合を教えて」
その由香利の提案で、楓の顔がバラ色に輝く。
「あーーーー!そうかあ・・・由香利さんがいたよね、よかった、光君だとお願いしていてイマイチというか全く不安で・・・」
「やはり伊勢の巫女様は違うなあ、さすが!」
華奈は、ここで何も言えない。
「・・・私も伊勢の巫女なのに・・・確かに実力差は歴然・・・でも楓ちゃんも、もう少し言葉を選ぶべきだ」
由紀は、由香利の機転に感心するとともに、焦る。
「うーー・・・最近、由香利さんの力発揮がものすごい」
「楓ちゃんの好感度を上げれば、アホの光君なんてすぐに落ちるかも・・・これは焦る」
キャサリン、サラ、春麗はあまり気にせず、冷静に分析。
キャサリン
「要するに私が光君をゲットすればいいだけのこと、他の人のことは関係ない」
サラ
「ふむ、楓ちゃんと斎藤さんかあ・・・似合うなあ、熊さんコンビ」
春麗
「楓ちゃんにも、ようやく春が来るのかなあ・・・性格が変わるかも、ダイエットは難しそう」
ただ、光はまだよくわかっていないけれど、それでも楓に提案。
「一度、斎藤さんを連れて、奈良に行くかなあ」
「斎藤さん、金剛力士を見たいって言っていたから」
「その時に二人でデートでもしたら?」
楓は、また真っ赤になっている。