光の実行犯分析、実は不毛な添い寝提案
ソフィーが事後処理を一旦終了、光の家に戻って来た。
「まあ、ひどい殺し方だったけれど、実行犯はまだ目を覚まさない」
「よほど強い停止念を送ったの?光君」
光は、素直に頷く。
「程度の悪いよからぬ念を感じたんだ」
「その実行犯にも、それを面白そうに見ていた輩にも」
「だから酒酔いが回った程度の停止念にして、一旦危険を止めた」
「面白そうに見ていた輩は、それに気が付くことはない」
ソフィーは頷く。
「そうだね、それは神霊界でも相当な力を持つ存在でなければ、使えない力」
「とても人間のチンピラ風情とは無縁な力」
由香利が光の瞳をのぞき込む。
「ねえ、光君は何か感づいたことはあるの?」
「怪しい輩の他に」
他の巫女も気になっていたらしい、一斉に光を見る。
光は、真面目顔。
「うん、とにかくね、怨恨みたいなのを感じるの」
「悔しさとかの恨みを、他者を傷つけ滅ぼそうとする念」
「ただ、その中でも、仇討ちみたいなのは、ある程度理解できるけれど」
「感じたのは、実に次元が低い逆恨み」
「身の程を知らない、虚栄心に基づく逆恨みかなあ」
春奈も真面目な顔。
「ほぼ五分で格闘訓練を積んでいるはずの警察官五人を殺してしまうほどの手練れ、それが虚栄心に基づく逆恨みで凶行に走る」
「おまけに、無関係と思われる市民にまで」
光は、ソフィーの顔を見た。
「ねえ、ソフィー、実行犯の過去の人間関係とか履歴を早急に調べて」
「今からでも警察に戻って調べて」
「それが第二の凶悪犯罪を未然に防ぐことになる」
ソフィーは実は疲れていたけれど、真面目顔の光に正論を言われては仕方なかった。
「うん、わかった、すぐ戻る」
ただ、またしてもの出勤が義務とはわかっていても、光には、様々のお願いをする。
「ねえ、光君、おそらく疲れて帰るの」
「だからね、帰ってきたら、肩をトントンして、その後は全身マッサージして」
「いいでしょ?光君たちは、家でのんびりしているんだから」
「一緒に添い寝してもらう約束してくれれば、もっと頑張る」
その懇願顔のソフィーに、光は珍しく優しい。
何を考えたのか、簡単にOK。
「いいよ、たまには、ソフィーとゆっくりもいい」
「寝物語もいいかなあ」
聞いたソフィーの全身が赤くなるほどのOKを言う。
ただ、ソフィーが超ご機嫌で再出勤した後、巫女たちは笑っている。
春奈
「おそらく光君は適当にマッサージするだけ」
華奈
「寝物語と言いながら、先に自分が寝てしまう」
由香利
「結局、ソフィーは文句タラタラで眠れぬ夜を過ごす」
由紀も同感するけれど、秘かにソフィーを押しのけての添い寝を狙い始めている。
他の巫女は、全員が大広間での雑魚寝を光が言ったと理解している。




