駅前の殺人鬼(1)
光と巫女たちが、駅前に急ぐと、確かに駅周辺には多くの人が集まっている。
その人たちの口から聞こえて来たのは、不安があふれるもの。
「やばいよ、包丁男だよ」
「薬でもやってる?」
「うん、目付きが変」
「警察は?」
「連絡がつかない、電話に出ないもの」
「マジ?近くでしょ?行って来る」
その言葉にすぐ打ち消す言葉が、聞こえる。
「さっき派出所に行って来た、でも、誰もいない」
その打ち消し言葉で、ソフィーがすぐに派出所にダッシュ。
光の耳に、その派出所の状況の連絡があった。
「光君!もう派出所の警察官、全員が殺されている」
「わからないわけだよ、休憩室に5人殺されているもの」
「他の警察部署にも連絡もできなかったのかな、全てスパッと首を斬られているよ、だからかなりの手練れ」
「犯行時間は、5分もかかっていない」
光はソフィーに確認。
「退治していい?」
ソフィーも即答。
「うん、私も警視庁に連絡しながら、そっちに行く」
光が人込みをかきわけて包丁男の前に出ようとすると、キャサリン、サラ、春麗も続く。
光
「まずは捕縛を考える」
キャサリン
「私だけでも倒せますが、あまり目立たないほうがいいでしょうか」
サラ
「すでに確認されただけでも五人の格闘経験を積んでいるはずの警官を殺しています、それを近所の少年少女が倒すとなると、疑問を感じる人も多いのでは」
春麗
「もどかしいけれど、その包丁男の犯罪の背景も知りたいから、穏便にかな」
さて、そんなことを言いながら、光たちが前に出ると、確かに目付きがおかしい包丁男が、ブツブツつぶやきながら、駅の入り口を徘徊している。
「へ・・・うるせえって言うんだ・・・何が警察だ」
「ピストルなんて持ちやがって・・・」
「市民を恫喝しやがって・・・気に入らねえ」
「ちょっと酔っぱらって歩いたからって、何だ?おいコラとは・・・」
「マジで気に入らねえ、上から目線で」
「弱いくせに威張るなって言うんだ」
「首を包丁で、チョンチョンしたら、血噴いてコロンだ、馬鹿馬鹿しい」
「まあ、これで逮捕?援軍が来る?」
「ああ、それはいいや、また、タダの飯が食える、寝る場所もできる」
「死刑?は?なるわけねえって!、反省したフリをするだけさ、かばってくれる弁護士先生に頼めば、簡単なこった」
「俺が病気って決まれば無罪もある?ありがたいねえ・・・」
その包丁男の目が、いつのまにか姿を見せた光と三人の巫女に向いた。
「ん?何だ?この青白いガキと・・・三人の外人のお嬢ちゃん」
「殺されに来たのか?」
「まあ、いいか、五人殺した、それが少し増えたところで、変わりはしない」
「面白いや、どこを斬るかな、ガキはともかくお嬢ちゃんたちは、裸にしてからでもいいや、眼福かもしれねえな」
「見るからに、かなり可愛い、これは切り刻みがいがある」
包丁男が、そこまでつぶやき、包丁を握る腕に力がこもった瞬間だった。
光の目が、キラリと輝きを発している。




