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光の難しい言葉と巫女たち 駅付近でトラブル発生の予感?

黙り込み、自分を見つめる巫女たちに、光は語りかける。


「ただ、そんな絶望の底にあっても、男と女は愛し合い、子孫に、より良い未来に、希望を託してきた」

「つまり、人間の歴史には、もう一つの面がある」

「愛と希望を求め、転びながらも、倒れながらも、あきらめず、進み続ける一途な姿があると思うんだ」

「僕自身、何故、その二面があるのか、説明は難しい」

「生き物としての、根源に基づく二面なのかもしれない」


光の声に、力が満ちた。

「僕に、今わかることは、この言葉だけ」

「これからも、絶望の底にあっても人間は愛しあうし、子孫を残すことを止めることは、できない」


巫女たちは、しばらく考え込んでいたけれど、華奈がまず発言。

「希望を失う必要はないし、失うことはない」

「あきらめずに愛し合って、子孫につなぐ」

「そういう生き物としての、本性があるということかな」


光は、満足そうに頷く。

「僕は、そう思っている」


ソフィーも口を開いた。

「うん、これが生き物の真理と思う」

春奈が続く。

「下鴨神社の糺しの森を歩く時に、今の話を深く感じるのかもしれないね」

ルシェールは光に感心している。

「いつもハンナリしていて、ボーっとしているようだけど、光君はいいなあ、また惚れた、光君の子供を産みたい」

由香利も深く感激気味。

「それはそうさ、ここにいる巫女たちは全員、光君の子供を産み、育てたい」

「こんなことを考えていたんだね、すごく深くて重たいけれど、好きな言葉」

由紀は、姿勢をまっすぐに。

「糺しの森で何か啓示があるような気がする、光君があれほど言うのは珍しいし、期待してしまう」

柏木綾子は、光の顔をじっと見ている。

「光さんには、あの真言立川流の時には、両親の命も私の身体も守ってもらった」

「諏訪様の御導きかな、光さんに添うようにと、本当に光さんの子供を産みたい」

キャサリンは涙を流している。

「我が先祖の地、イングランドにも数多くの悲惨なことがあって、ずっと思い悩んでいたけれど、光君の言葉で力づけられたような感じ、私も光君の子を産みたい」

サラは、深く目を閉じている。

「ギリシャから中東も、凄まじい戦争の歴史、いまだに終わっていないけれど、人々が絶えることはない」

「それに阿修羅はもともと、我らが地方で奉られていた神、その御意志と御力を受けた光君の子供・・・それこそ我が身に宿し、産み、育てるのが宿命かもしれない」

春麗も光から目をそらさない。

「他の巫女さんと勝ち負けはない、私が光さんの子供を産みたくて、育てたいだけ、チャンスが少ないのは厳しいところだけど」



さて、少々難しいことを語った光は、その首を回したり、腕を回したり屈伸運動までしている。

その光に春奈が質問。

「ねえ、光君、どうかしたの?何かスポーツでもするの?」


光は、「うん」と頷き、少しだけ目線を窓の外に移す。

「門の外で立っている金剛力士が、何か察知したみたい」

「・・・駅の近くで、トラブルが発生しそうだとさ」


その光の言葉で、キャサリン、サラ、春麗が即時に立ち上がっている。


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