表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/303

光の家の前で 

光は珍しく由香利の膝枕をわかっていたようだ。

その頭を上げ、お礼まで言う。

「すみません、由香利さん、いつの間にか眠ってしまったようで」


由香利は、その光がうれしくてしかたない。

光を抱き起しながら、

「いえいえ、なかなか可愛かった」

「初膝枕、ゆっくり楽しませていただきました」

と、由香利もお礼。


由香利の父が他の巫女の心理を不安視するほどの、親密感が光と由香利に発生している。

ただ、光にはそんな繊細な感性はない。

由香利から身体を離すと、いつものボンヤリ顔が復活。

それでも、一家を代表してキャデラックを降り、由香利の父と子分たちに、お礼をする。

「本日は何から何までお世話いただいて、本当に感謝しております」

「また、心よりのお礼をさせていただきたく存じます」


由香利の父は、ご機嫌な顔。

「いやいや、こちらも楽しかった」

「光君の素晴らしい演奏、恥ずかしながら歌を歌うこともできた」

「何より、この俺は光君にゾッコン惚れちまった」

「やっと、気合入れてお世話できるお方ができてうれしくて仕方が無い」

「男親代わりと思って、どんどん、頼って欲しい」

「それが、お礼になる」

「可愛い息子みたいな感じなのさ」


その由香利の父、江戸の大親分の言葉が、光にも本当にうれしかったようだ。

「はい、いつか、一対一でお話したいですね」

「僕も、お父様、大好きです」


光がその拳を前に差し出すと、由香利の父も拳を出す。

由香利の父は真顔

「この拳が今、触れた時点から、約束だよ」

「一生、何があっても、俺と俺の一家、全国の稼業の者も光君を守る」


光もその真顔に、真顔で応える。

「ありがとうございます、曲がったことは許しませんが、そうでない限り良い関係を」

とまで言って、空を見上げる。

そして不思議な言葉。

「今後は、地上で・・・いや地球全体で・・・どうのこうの争っている場合ではない事態が発生し始めます」

「僕は、絶対に、この美しい地球を守りたい、いや守る」


その光の肩を、由香利がポンと叩く。

「そのためには、光君をまず守らないと」

その由香利も真顔。

「光君が倒れたら、地球が壊れる」


他の巫女たちは、ずっと黙って光と由香利の父、由香利との会話を聞いていたけれど、やはり気になる言葉は、光の「美しい地球を守りたい」との言葉。


少し緊張感のある光の家の前の状況で、華奈がポツリとつぶやいた。

「そうか、光さん、それが心配で、実は恋愛どころじゃないのかな」

「そうだよね、地球が巨大隕石で壊されたら、何もかも終わりだもの」


そして光の背中をじっと見る。

「私は、何があっても光さんについていく」

「あの背中から目を離さない」

「由香利さんに負けない、他の巫女さんにも負けない」

「懸命に努力して・・・その手を握るまで、目を離さない」

華奈の目には、涙と闘志が宿っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ