表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/303

光が突然弾きだした曲と、周囲の思い。

光が弾きだした曲は、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」だった。


最初の極めて小さな音のフレーズから、小ホール全体の緊張がほどけた。


「はぁ・・・落ち着いた・・・」

「きれい・・・キラキラと・・・」

「心が洗われるな」

「光君は、いい子だなあ」


小ホール全体が、ようやく落ち着いた頃、曲も終わった。

光が恥かしそうに立ち上がって、客席に向かうと、全員が立っての拍手。

すると光は、その顔を赤くして、深くお辞儀。


少し元気になった音大生たちから、いろんな声が光にかかる。


「ありがとう!光君」

「落ち着いた!」

「竜輝をやっつけてくれた」

「もう、高校なんていいから、明日からおいでよ」

「そうだよ、ピアノ聴かせて!」

「うん、私とデュオしてよ」

「土日空いている?そしたら毎週、おいで!」

「その後デート!」


特に光には、「意味不明な声」がかかるけれど、巫女たちもいろいろ。

春奈

「せっかく嫌なことの後で、ホールを鎮めたのに、また面倒だ」

ソフィー

「官邸だけに動画送った、官房長官が大笑いしていた、さすが光君ってね」

「テレビ局の親御さんには、事情を詳細にした警告書付動画」

「他のマスコミには、あほらしすぎて送らない」

由香利も納得。

「光君が目力で転倒させただけ、そんなのわかる一般人はいない」

「でもなあ、ああなると同じ大学だし、光君を警護する必要があるな」

華奈は、その由香利に文句を言う。

「いいですか?私が妻なのです。決してフラチな真似は許可しません。手を握ることも却下します」

由紀は、その華奈に苦言。

「ねえ、その妻発言、やめて。それ言う前に、せめて呪文とヴァイオリンの練習しなさい、今のままでは絶対に奈良に行っても足手まといだよ」

華奈は、「何もそこまで・・・事実だけど・・・」と潤んでいる。


ルシェールは、久々に得意満面。

「ようやく、本当の妻の出番だね、夫のピンチを救う」

「足を引っ張るだけの誰かとは大違いさ」

何気なく華奈を刺激するけれど、華奈は一言も反論できない。


柏木綾子は、この時点で気持ちを固めた。

「明日からピアノレッスンしよう、私も気合入れて音大を目指す」

キャサリンは、自信満々。

「ふむ、オーケストラに入れば、また光君の指揮か、ピアノとトランペットのデュオもあるし、ジャズもいいかも」

サラも笑顔。

「弦楽器の原点は、ギリシャとか中東が起源、本物のチェロを聞かせてあげる」

春麗は周囲を見回す。

「まあ、私が本気になれば。相手にならない、せいぜい、ここの巫女さんたちと光君、でも華奈ちゃんは例外かなあ」


さて、光がピアノを離れて、ステージからおりようとすると、また小沢先生から声がかかった。

「もう一曲、試してみたい、室内楽だけど、シューベルトだよ」


光は、シューベルトの時点で、顔が輝いている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ