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竜輝の蛮行の原因と後始末

苦しんでのたうち回る竜輝と、女子音大生の前に、春奈とソフィーが立った。

すでに駆けつけて来た学長、小沢、内田に一礼、事情を尋ねる。


春奈

「そもそも、どうしてこの竜輝という学生と女子音大生が乱入したのですか?」

学長は、実に申し訳ないといった表情。

「はい、秋の演奏会での出演者選定、披露の催しなのですが、竜輝については選に漏れた」

「とても、ここの音大として、外部で演奏させるだけの腕ではない」

「しかし、竜輝の親は、今回のスポンサーのテレビ局の大幹部」

「その威光をかさに着て、出演をごり押しが、激しい」


内田が補足する。

「光君には申し訳ないけれど、そういう事情があったの」

「それで、光君の腕を見せつければ、我がまま放題の竜輝でも、自らの実力不足を納得するかなあとね」


小沢が苦々しい顔。

「そもそも、日時も相当前に連絡済み」

「それなのに、大酒して、わざと遅れてきて、ジャマをしようとする」

「時間の約束を守れないプロはありえない、特に駆け出しの新進演奏者は」


ソフィーがしゃがみこんで、竜輝のジャケットから転がり落ちたナイフを手に取る。

そして矢継早に質問。

「ねえ、竜輝君とやら、何で音大に来るのに、これが必要?」

「あなたピアノ弾きでしょ?ナイフが必要なの?」

「それから何で突然、転んだの?」


竜輝は痛みで苦しみながら答えた。

「・・・ナイフは・・・保身用で・・・イザという時に・・・」

「親父から渡され・・・」

「いつでもどこでも、有名テレビ局の子息となれば、何をされるかわからないと言われて・・・」

「転んだ原因?よくわからない・・・あのガキの目を見たら、足がすべった」

竜輝も転倒した際に、頭を打っていたようだ。

ソフィーへの答えの後、そのまま嘔吐している。


春奈が学長にアドバイス。

「すぐに医務室に」

「私の見立てでは、手首は複雑骨折」

「頭も打っていますので、ある程度の入院治療が必要かと」

「それから女子音大生も、すぐに医務室に」


ルシェールと、由香利、由香利の父が歩いて来た。

ルシェールは学長に、声をかける。

「この竜輝さんの親御さんのテレビ局は、おそらくスポンサーを降りるかと」

学長は、ハッとそれを思い出したのか、難しい顔。

ルシェールは言葉を続けた。

「私の赤坂の教会には、すでに連絡済、スポンサー契約OKと了承済みです」

驚く学長に、今度は由香利。

「うちの親の一家が、警備しますよ、ご安心を」

今度は首を傾げる学長に、小沢がささやく。

「心配いらない、驚くなよ、この人は江戸の大親分、なまじの警察よりは、余程安心できる、曲がったことはしないし、腕っぷしは強い」


内田は、口を押えても、笑いをこらえきれないようす。


さて、竜輝と連れの女子音大生たちは、学園医務室に担架に乗せられて、運ばれていった。

また、嘔吐の床面も、その時点で、きれいに清掃された。


ステージ上の光は、その様子をずっと見ていたけれど、いきなりピアノの前に座った。

何かを弾きだすような雰囲気になっている。


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