意外な始末、巫女たちには予想通り
竜輝とその取り巻きの女子音大生は、ステージに近づきつつある。
また、その言動もますます、過激になる。
「おいおい!そこのガキ!」
「とっとと降りろや!」
「人間の言葉がわからない?」
「犬だってわかるぞ?犬に教えてもらえ!」
「ほらほらーー!そこの馬鹿犬!」
「この竜輝に逆らって五体満足に帰せないよ!」
「いい?はやく降りて来なよーーー」
「降りたら土下座して、お財布置いて帰んな!」
「キャハハ!キャハハ!」
その竜輝と女子音大生が、ステージの上りの階段の寸前に来た時だった。
ずっと黙っていた光が口を開いた。
「あの・・・あなたたち、誰?」
その言い方も、実に光らしい、「ボンヤリハンナリ声」。
しかし、ホールには、しっかりと響く。
小沢と内田は、プッとふき出す。
学長は、その小沢と内田の反応が意味不明、首を傾げている。
また、ホールで不安気に見ている音大生たちは、呆気にとられている。
「マジ?あの光君、何も状況がわかっていない?」
「竜輝って、切れると何するかわかんないって」
「胸にはナイフ持ってんでしょ?」
・・・・様々、心配の声がを上げる音大生が多い。
巫女たちは、ニコニコと、結末を楽しみにしている様子。
春奈はニヤニヤと笑いながら
「怪我人手当しないとなあ、でも竜輝も派手な女子音大生もしたくない」
ソフィーも笑う。
「それが医療関係者の言う事?どうせ正当防衛も何もないよ、きっと」
他の巫女、柏木綾子まで、春奈とソフィーの言葉には何の反論もしない中、突然、悲鳴があがった。
「ぎゃーーー!痛てえ!」
「あれ?あーーー!」
「痛い!何?鼻血?」
竜輝がステージへの階段をのぼろうとした時点で、足を滑らせてひっくり返ってしまったのである。
そして、その竜輝の転倒に連動して、付き添って来た女子音大生たちも転倒。
頭や腰を打ち、中には床に顔から突っ込んだ者もいる。
竜輝が再び叫んだ。
「痛てえ!手首が・・・グラグラ・・・折れた?」
もんどりうって苦しみ転がる竜輝のジャケットの内ポケットからナイフが転がり落ちる。
転倒した女子大生は、後頭部を打ち、起き上がろうとしてもなかなか、起きられない。
そのまま気分が悪くなったのか、床面に嘔吐、失禁する者もいる。
そして鼻血を出していた女子大生の血は鼻からだけではなかった。
額もパックリと割れ、前歯を折っている。
おそらく転倒した際に、階段にその顔を強く当てたらしい。
光は、その竜輝と女子音大生たちに、「ハンナリボンヤリ声」。
「とても、それではステージどころではないようで」
その声を受けて、面倒そうに春奈とソフィーが立ち上がって歩きだす。




