表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
301/303

奈良興福寺コンサート(2)

「うわ!これはすごい」

春奈は、聴衆の大盛り上がりにうなった。


日頃は冷静なソフィーも、その顔を上気させる。

「天空の星には、数多の神々が見えるし、聴衆の中にも本当に多く」


圭子は、笑い出す。

「阿修羅が呼んだと言うよりは、阿修羅のもとに集まっちゃった」

「それに歌い出しているよ、神々も」


神々が歌い出したのに呼応したのだろうか、聴衆も大きく口を開けて、威風堂々を歌い出す。


小沢師匠は、本当にうれしそうな顔。

「光君の指揮で、みんなが歌っているよ」

「楽団と合唱団だけの指揮者ではなくて、この音楽の祭りの全体の指揮者だ」

「また、成長したなあ」


「威風堂々」は、聴衆を巻き込んでの大盛り上がりの中、終わった。

光が聴衆に頭を下げると、四方八方から、大きな拍手と歓声、そしてアンコールの声が、光と演奏者たちを包み込む。


光が、再び頭を下げると、ステージ中央にグランドピアノが運ばれてきた。

そして、光の隣に、ルシェールが真っ赤な顔で、歩いてくる。


「それでは、アンコールにお答えします」

「聖母マリアに感謝を、全ての慈愛に感謝を」

光の明るく、通る声が響く。


その声で、大興奮の限りだった聴衆は、また息を飲む。

光は、真っ赤な顔のルシェールに目で合図。

光は、ピアノの前に座り、「カッチーニのアヴェ・マリア」の前奏を弾き始める。

ルシェールは、その胸を押さえて、歌い出す。


春奈は、肩の力が抜けた。

「はぁ・・・負けた・・・」

ソフィーの目が、本当に珍しく潤む。

「ルシェールの念願の想いが、実った」

「あの子も一途で・・・」

圭子もルシェールをじっと見る。

「この時代では、ルシェールが適任だった」

「何があっても、完璧に光君をフォローし続けた」

「特に地球壊滅を乗り越えたのは、ルシェールと聖母マリアの協力があったからこそ」


ルシェールの絶唱が続く中、星空に異変が発生した。

聴衆の誰もが気がつき、見上げると、白い長衣を着た聖母マリアが、浮かび上っている。


「うれしい・・・泣ける・・・」

「ありがたい・・・笑っておられる」

「また、がんばってねって、言われている」

「クリスマスの日に・・・マリア様・・・奇跡だよ、これ・・・」


すると、また異変が発生した。

星空に浮かんできた聖母マリアが、地上に降りてきた。

そして、ピアノを弾く光と、歌い続けるルシェールに手を振り、その前に座る。


光のピアノとルシェールの歌声は、ますます神々しさを増し、聴衆を包み込んでいく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ