光の叔母圭子の頼み、その裏には・・・
その光がじっと見つめる大型モニターに映ったのは、奈良に住む光の叔母、圭子だった。
そして、圭子は、そのまま話しだす。
「光君、そして巫女の皆様、お久しぶりです」
楓の大暴言を予測し、「逃げるが勝ち」と腰を浮かしていた巫女たちも、世界でもトップクラスの巫女の圭子の登場とあれば、逃げることなどできない。
春奈が全ての巫女に目配せ、全員が再び座っていた場所に腰をおろした。
モニター画面の圭子は、それを確認し、再び話しだす。
「前回の戦いは、皆様、本当にお疲れ様でした」
「すさまじい悪霊や大混乱を巻き起こす悪霊との戦いではありましたが、阿修羅様、全ての巫女様がたと、その御神霊のお働きにより、無事退治することができました」
「ここに、日本の巫女界を代表して、そして光君の叔母として、心より御礼申し上げます」
圭子が、そこまで話して頭を深く下げると、巫女全員も同じように頭を深く下げる。
圭子は、話を続けた。
「そして、前回の戦いの後、諏訪大神様の巫女、柏木綾子さんがお仲間に加わってくれることになったとのこと」
「それについても、心より、御礼申し上げます」
そして、柏木綾子に、また深く頭を下げる。
圭子に深く頭を下げられた柏木綾子は、顔が真っ赤。
「いえ・・・あの・・・私は光さんと巫女さんたちに、命を・・・自分の命だけでなくて、両親の命まで助けていただいて・・・」
「ご高名な圭子様に頭を下げられるなんて・・・」
「本当に、頭を上げてください」
「まだまだ、ふつつかな私です」
圭子は、そんな柏木綾子にやさしく微笑んでいる。
さて、そんなやりとりをじっと聞いていた光が口を開いた。
「ねえ、圭子おばさん、挨拶はそのくらいでいいんだけど」
「また、何か問題とか出たのかな」
「それとも、違う何か?」
光の言葉に、圭子が深く頷く。
「光君ね、そして巫女さんたちにお願いがあるの」
光と巫女全員が注目していると、圭子は少し恥ずかしそうな顔。
「あのね、ホルストの惑星って曲知っている?」
光と巫女全員が頷くほどの有名な曲。
特にキャサリンは「我がアーサー王故郷の曲」として、顔が輝いている。
光が圭子叔母に尋ねた。
「それで圭子おばさん、その惑星で何か?」
圭子は、真面目な顔になった。
「実はね、奈良の興福寺で演奏して欲しいの」
「実は、前回の戦いの後、興福寺の管長様にお願いされていてね」
「光君の音楽部の学園の音楽部でもいいし、奈良のオーケストラの中に、光君と巫女さんたちが加わってもいいらしい」
光が、学園の教師でもある春奈の顔を見たり、警護担当のソフィーの顔を見たりしていると、圭子が付け加えた。
「費用面は、心配しないでいい」
「全て、奈良の寺社連盟で負担するってことだから」
光は、真顔になっている。
そして、考え込み、不思議な言葉をつぶやく。
「惑星は、星の神の曲」
「それを演奏するということは・・・星の神からの何かメッセージが得られるということ」
「興福寺の管長にも、何か感じるものがあったんだ・・・諸仏の諭しかな・・・」
「演奏してみないと・・・そのメッセージがわからないなあ」
その光の言葉で、奈良の圭子を含めて巫女全員の顔に緊張が走っている。