表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
297/303

ルシェールは「今すぐにでも」と光に迫る、楓の「思惑」

春日大社への参拝は滞りなく行い、一行は朝食。

そして、午前中はそれぞれが、ゆったりとして過ごした。

光にいたっては、午前中は「また一寝入り」と、ベッドの上で横になっていると、ノック音、そしてルシェールが入って来た。


ルシェール

「ねえ、光君、黙っていようと思ったけど」

「万が一もあるからさ」

光は、寝ころんだままキョトン顔。

「困ること?」

すると、ルシェールも光の隣に、ゴロンと横になる。

「えっとね、アンコールのこと」

光は、そうなると、まともな顔になる。

「うん、無事に仕上がっていると思うよ」

ルシェールは、光を横抱きにする。

「いろいろ考えて、カッチーニのアヴェ・マリアはいいんだけど」

光は、ルシェールの腕の力が強いので、すでに身動きが不可能。

そのうえ、ルシェールの豊かな胸が密着しているので、身体がますます硬直する。

「えっと・・・ルシェール、近すぎる」

ルシェールは、光のそんな焦りは気にしない。

「それでね、もう一曲演奏して欲しい」

「カッチーニもいいけれど、クリスマス恒例のあの曲」

「最後は、祝祭音楽で締めたいなあと」

光は、愚問とも思ったけれど、聞いてみた。

「ねえ、オーケストラと合唱団は知っている?納得している?」

「練習していないし、すぐにできるの?」

ルシェールは光の顔を胸に包み込む。

「今、小沢先生が特別レッスンしている」

「全く問題なし」

光は、ルシェールの胸から、少し顔を浮かせる。

「わかった、小沢先生がレッスンしてくれてあれば、問題ない」

ルシェールは、光の顔をまた、胸に包み込む。

「小沢先生と仕上がりで勝負?」

光は、ルシェールの胸に埋め込まれて、声を出すのに難儀。

「うん、それもいいね・・・でも、ルシェール、マジに苦しい」


ルシェールは、そんな光が面白くて、いじめたくなった。

「ねえ、光君、マリア様がおっしゃったんだけどね」

光は、息が苦しくて、すでに声も出ない。

ルシェールは、続けた。

「とにかく早く結婚式をあげて、子供をって」

「私は、いつでも、今すぐでも」


光は、ルシェールの胸から必死に顔を離した。

「まだ高校生、結婚は、せめて大学生になってから」


さて、そんなラブラブの会話の中、突然、ドアにノック音。

ルシェールと光が、思わず身体を離すと、楓が入って来た。


楓は、光とルシェールに怒るでもなく、真面目な顔。

「ねえ、二人の結婚式はいつ?」

「私ね、ドレスを作りたいの」

「それに合わせて、ダイエットとかさ」

「すごく重要なの、それ」


ルシェールと光は、顔を見合わせる。

それでもルシェールが、楓の意図に気がついた。

「つまり、私たちの結婚式に、ドレスを着る」

「その席には、楓ちゃんの彼氏の斎藤君も来る」


楓の顔がパッと赤くなった。

「・・・それでね・・・婚約を発表したいなあって・・・」

「だからさ・・・ダイエットの都合もあるからさ」


ルシェールは、納得して頷くけれど、光は首を傾げている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ