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コンサート前日の夜、八部衆神々の会話

コンサート前日の練習は、完璧な仕上がりを見せて終わった。

光は、巫女たちや師匠小沢、ヴァイオリニストの晃子、岩崎義孝、岩崎華と一緒にホテルで夕食、少し雑談の後、ホテルの自分の部屋に戻った。


「少しは街歩きを」とのは声は、全くなかった。

とにかく夜は寒いことや、下手に光を夜に歩かせて、演奏会直前に風邪を引かせても困る、というのが、特に巫女たちの本音であったから。


さて、ホテルの部屋の中で、光がベッドに寝転んでいると、ドアにノック音。

「やれやれ、誰?」

光がドアを開けると、八部衆の神々が部屋に入って来た。


その中でも、まとめ役のゴブジョー神が、光の肩をポンと叩く。

「調子は良さそうだね、光君」


光が頷くと、ゴブジョー神は他の八部衆を見ながら、光に言葉をかける。

「明日は全般警護、空に飛んだり、地にいたりね」

「もちろん、長年住み慣れた興福寺だから、当たり前だけど」


光は、クスッと笑い、両手を胸の前で合わせて、阿修羅に変化。

「まあ、それはそうだよな、約1300年もいるんだ、この興福寺に」

「一度は演奏会もいいだろう、光君もいる特別な時代に」


童顔のサカラ神は笑う。

「ところでさ、光君には内緒で、アンコールには僕たちも参加する」

同じく童顔のケンダッパ神も、笑顔。

「当然さ、興福寺でコンサートをやるのに、音楽神が参加しないなんてありえない」


少々厳しめの顔のヒバカラ神も、今夜は顔がやわらかい。

「思いっきり参加させてもらうよ、光君の指揮なら」


美男系のキンナラ神は、話題を変えた。

「例の金剛力士も歌いたいって言ったけれど、それは難しいよな」


恐ろし気な顔のクバンダ神も、それには同意。

「あのドラ声は・・・うん・・・音楽を壊す」


鳥神のカルラ神も続く。

「あいつらは警護で十分、四天王も警護に立つって言っているよ」


阿修羅は、一つ一つ頷きながら、八部衆全員の顔を見る。

「他にもね、集まって来るよ」

「今まで付き合ってきた善なる神が全て参加したいとか」

「交通整理も必要かもしれない」


ゴブジョー神は、笑顔。

「独立系の諏訪様まで来られているのだからなあ・・・」

「神々と人の大宴会になるね、これは」


サカラ神が阿修羅の顔を見た。

「阿弥陀様も毘盧遮那仏も、輝き始めているよ」

「おそらく、何か動く」


ケンダッパ神も続く。

「国宝館で阿修羅の前に立っている千手観音も、発声練習をしている」

「まあ、あのお方なら、問題はない」


サカラ神はホテルの窓から、興福寺の方向を見る。

「国宝館にいる仏や神は当然、興福寺の全てのご神霊は参加する」


そんな「ご神霊参加話」の中で、阿修羅は東大寺の方角を見る。

「あの四月堂の十一面観音様も、必ず来てもらう」

「何しろ、光君のお母さんを宿した観音様」

「それは地蔵さんにも頼んである」


光の部屋の中で、八部衆の仲間たちの会話は、長々と続いている。


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