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コンサート前日 練習会場にて

コンサート前日の練習開始前に、岩崎財閥の広告代理店社員望月梨花から、光を含めてオーケストラ、合唱団員全員に説明がなされた。


「まず、今回の奈良興福寺コンサートは、全世界に動画生放送となります」

「それから、日本政府はもちろん、国連、各国政府から祝福のメッセージが届いております」

「また、日本の名立たる寺社、ローマ教皇、その他世界各地の宗教団体のトップからも、同じように祝意が寄せられております」

「また、皆さまが、すでに気づかれておられるとは思いますが、このコンサートに注目する観光客が、相当に増えております」

「ですから、おそらく興福寺の境内はすべて、聴衆で埋まってしまうかと」

「それを考慮に入れていただいて、警備係の警護のもと、ステージへの移動をお願いいたします」


そんな説明を聞いた楽団員や合唱団員は、驚いたり、緊張したり。

「うわ・・・すご過ぎ・・・」

「緊張してきた・・・ヘマできない」

「これも光君の効果?」

「他に考えられる?」

「東京駅前コンサート、諏訪大社コンサート・・・それから日比谷の・・・」

「足が震えて来た・・・警備員に守られてステージに行くなんて」


かつて、光に対して、小馬鹿にしたような態度を示した練習指揮者の吉田と、元コンマスの谷口も、これには赤面。

吉田

「これほどの人気と実力がある光君に、とんでもない態度を取ってしまった」

谷口

「俺なんて、子供扱いして、馬鹿にしていたもの」

「本当に不見識の極み、田舎者丸出しだ」


望月梨花の説明は、続く。

「それで、現実的には、興福寺境内だけでは、全ての聴衆が収まりません」

「東大寺の大仏殿前、春日大社の飛火野にも、大きなモニターと音響設備を準備しています」

「そこまで準備して、ギリギリ聴衆を収められるか、どうかの状態になっています」

「それ以外、つまり奈良公園付近以外とのことになりますが、世界各地の役所や寺社に、先月の復活コンサートで使用した鏡の設置がなされています」

「そこにも、ここの奈良興福寺のコンサート動画が、同時中継される運びになっています」



まさに、驚くばかりのオーケストラ、合唱団員になるけれど、指揮台に登った光は冷静。

「誰がどこで、何人聴こうと、演奏をするのは私たち」

「何も恐れることはなく、心を込めて、演奏するだけです」

「全ての星、大宇宙に感謝の意を、演奏で伝えましょう」

とだけ、伝えて、指揮棒を振る。


後ろから見ている小沢はうなった。

「完全に演奏者の心を掴み切った」

「もう、自由自在に振っているよ」

「音の響きが、実にクリアで力強い」


同じく後ろで聴いていた岩崎義孝が、小沢に何かを囁いた。

すると、小沢はにっこり。

「そうかあ・・・光君にアンコールのリクエストねえ」

「それも世界中から曲を指定して?」


春奈が小沢にもう一言。

「すでに楽団員と合唱団員には、楽譜を配布済みです、光君には内緒です」


「これは、すごいことになりそうだ」

小沢は、笑い出している。

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