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奈良興福寺コンサート準備(15)晃子が臨時コンサートマスターに

晃子に突然腕を組まれた光ではあるけれど、その解き方が、いかにも光らしい。

「晃子さん、まだ、威風堂々があるの」

「だから邪魔」

と、あっさり腕を解いてしまった。


これには、見ている楽団員は驚くばかり。

「あの美人ヴァイオリニストを簡単に袖に・・・」

「晃子さんの悔しそうな顔が・・・」

「もう少し、言い方がありそうな気がする」


しかし、晃子も簡単には引き下がらない。

「私も弾きたくなった」

「何とかして、音大の後輩として」


光は、実に困った。

「晃子さん、そうは言ってもね。これは奈良の市民オーケストラなの」

「僕は呼ばれて来ているだけ」

「僕に決める権利はないよ」


そんな問答が気になったのだろうか。

壁際で見ていた元コンサートマスターの谷口が歩いて来た。

そして、楽団員全員に声をかける。

「みんな、俺も現役引退だ、今回の臨時代理で晃子さんをコンマスってどうだい?」


光は、「え?」と驚き、華奈は「ムッ」と顔をしかめるけれど、どうにもならなかった。

何しろ楽団員の拍手と足踏みが始まってしまった。

晃子の動きも、実に迅速。

ケースから、さっとヴァイオリンを取り出し、楽団員に挨拶。

「晃子と申します、是非、今回のコンサートに加えてください」

大拍手と足踏みまでしたのだから、無論、楽団員は大歓迎。

晃子は、そのままコンサートマスターの席に座り、早速チューニングを始めている。



さて、そんな晃子の様子を見ている春奈とソフィーはブツブツと文句。

春奈

「なんで、晃子さんが来るの?また光君をつけ狙うの?」

ソフィー

「華奈ちゃんの怒り顔が可愛い、でも晃子さんはねえ・・・」

春奈

「晃子さん、最近、太ったみたい」

ソフィー

「化粧が派手、香水もきつい」

春奈

「晃子さんも年かなあ、少々、お肌が」

ソフィー

「うん、バストトップが下がったような、お尻も大きくなった」

春奈

「あれなら、私の方がまし」

ソフィー

「え?同じようなもの、春奈さんはもう・・・」

春奈

「うるさい、ソフィーだって、変わらないでしょ?」


年増二人のブツクサを、ルシェールがたしなめる。

「ねえ、うるさい、どうせ光君は晃子さんなんて、相手にしていないんだから気にしない」

「そんなことより、光君の威風堂々を聴こうよ」


春奈とソフィーも、さすがに反省したようだ。

姿勢を正して、光の背中を見つめている。


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