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伝説の室内楽団「光」の再結成

午後になった。

連絡通りに4人の大人と、小沢先生と内田先生が、光の家に訪ねて来た。

光は、子供の頃の記憶から、4人の大人を特に面識がない巫女たちに紹介する。

「全員がかつて、母さんの室内楽団『光』のメンバー」

「第一ヴァイオリンの佐々木さん、第二ヴァイオリンの山本さん、ヴィオラの田中さん、それからチェロの関本さん」

「みんな、日本のトッププロ」

光の紹介を受けて、4人の大人が、にこやかに頭を下げる。


佐々木は白髪頭の男性でガッシリとした感じ。

「昨晩の超名演奏を聞いてね、僕たちも気持が高ぶってね、どうしても光君とアンサンブルをしたくなってね」

「それに、懐かしいなあ、ここの家、菜穂子さんが今にも出て来そうで」

山本は女性、穏やかな笑顔。

「そうね、本当に魂を揺さぶられる演奏でした、まだ耳に残っています」

「私も途中から楽器持って、光君の指揮で弾きたいと思ったほどなの」

田中も女性、知的雰囲気。

「光君の指揮から紡ぎ出される音楽そのものが、壮大で圧倒されました」

「菜穂子さんもお喜びでしょう」

関本は大柄、ゆったりとした雰囲気。

「とにかく感動したよ、鮮烈で壮大、僕も光君と音楽をしたくてね」


光は懐かしそうに、一人一人頷く。

巫女たちは、「ほー・・・すごい援軍」と、にこやかに笑みを返す。


小沢先生も、笑顔で光を見る。

「とにかく、演奏はいつも凄いけれど、昨日の演奏は別格」

「あんなパワフルで流麗な演奏ができるとは」

「光君は、もう世界でもトップクラスの力と思うよ」


内田先生も、うれしくて仕方がない顔。

「私は感動して泣いてしまいました」

そして、その顔をピアノの上の光の母菜穂子の写真に向け、また泣きだしている。


小沢が光に再び声をかけた。

「あれだけの演奏をしたんだ」

「これから、いろんなところから、演奏依頼が来る」

「それで、マーラーの復活みたいな大曲が多くなると思うけれど」

「僕としては、ピアニストとしての光君も捨てがたい」

「リサイタルもいいし、室内楽も楽しみ、いろいろ演奏して欲しい」


内田先生が、室内楽団光のメンバーに目配せ、そのまま楽譜を配り始める。

シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」だった。

午前中に連絡を受けた時には、面倒そうな顔をしていた光も、素直にピアノの前に座る。


そして弦楽器のチューニングを済ませると、そのまま演奏が始まった。

「うわ!息がピッタリ!」

「落ち着いて、しかも華やかなシューベルト」

「このまま、コンサートでもいいなあ」

「光君もニコニコと弾いている、目配せしたりして」

「トッププロの人も、乗っている感じ」


小沢は内田の顔を見た。

「内田さん、これもコンサートを組もうよ」

内田は、にっこり。

「伝説の室内楽団の復活だね、早速話を進めましょう」


シューベルトが終わって、光もメンバーも、もっと演奏したい様子。

光が二階の母の部屋から、他の楽譜を引っ張り出してきて、夕方までアンサンブルを楽しむことになった。

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