コンサート終了後のレセプションにて
コンサート終了後は、全員がバスで移動、官邸でのレセプションとなった。
音楽部、合唱部、光の関係者たち、そして全閣僚も出席するので、ビュッフェの立食形式になる。
そのレセプションの開会は、首相が挨拶。
「本当に素晴らしい演奏でした」
「光君の指揮棒が、まるで神の指揮棒のように輝き」
「その指揮棒から発せられた光線が、全地球を恐怖に陥れた巨大隕石を破壊したのです」
「これは日本政府として、国連、各国政府として、最低限のお礼とお考え下さい」
「本当に、ありがとうございました」
首相が光と音楽部、そして合唱部に頭を下げると、全閣僚も同じく頭を下げる。
首相に続いて、話をするのは、やはり学園長。
「私たちの学園の高校生による音楽演奏が、よもや全地球を救うことに関連するなど、当初は考えもしませんでした」
「しかしながら、これは人智を越えた、何か崇高な存在のお導きなのでしょう」
「それを思い、様々な人のご指導とご協力も賜り、懸命の演奏を行うことができました」
「ここに、学園を代表いたしまして、当学園のコンサートにご支援、ご協力を賜りました全ての方に、御礼申し上げます」
レセプション会場全員の拍手の中、官房長官が乾杯の発声。
「それでは、コンサートの素晴らしい演奏と、全地球の安泰、そして皆様のますますのご健勝を祈願いたしまして、乾杯といたします、乾杯!」
その乾杯に会場全員が唱和し、レセプションが始まった。
楓は早速、光に声をかけた。
「ねえ、光君、ステーキが美味しそうなんだけど」
光は、面倒そうな顔。
「うーん・・・楓ちゃん、食べたければどうぞ」
料理を探すよりは、あちこち見まわしている。
春奈も光に声をかけた。
「光君、疲れたの?椅子を持って来てあげようか?」
光は、首を横に振る。
「疲れたのは事実、何しろ復活は大変な曲だから」
「今は、ふくらはぎが痛い」
「だから、あまり歩きたくない」
由紀も心配そうに光の隣に立つ。
「すごく、足を踏ん張って指揮していたね」
「実は、つったの?ふくらはぎ」
光は、素直に頷く。
「そう、歩くのがやっと、アンコールはピアノで指揮をしないから、何とかできたの」
首相と官房長官が光の前に来た。
首相
「本当に助かりました、何とお礼を申していいのやら」
官房長官
「人類史、全地球史に残る名演奏になります」
光も、ようやく笑顔。
「こちらこそ、これほどのバックアップ、本当にありがとうございます」
「ただ、演奏家は、また次を期待されます」
「期待を裏切らないように、研鑽に励みます」
官房長官が尋ねた。
「次の演奏とは?」
光は、その目を輝かせた。
「奈良の興福寺で、ホルストの惑星を振ります」
首相も笑顔。
「そうですか、それは・・・私も聴きに出向きます」
「私も奈良が大好きなので」
首相が手を伸ばし、光もしっかりと首相の手を握っている。




