表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
262/303

復活交響曲は、大クライマックスに

日比谷野外音楽堂及び、全世界各地に設置された鏡に映る、復活交響曲の演奏を聴く全ての人が、手を合わせる、あるいは手を組み合わせている。

そして、一心に指揮棒を振る光を、その指揮に応える楽団を見る。


大指揮者小沢は、周囲の聴衆を見ながら感じた。

「光君は、この日比谷の音楽堂を、人々が祈る荘厳な大神殿に変えてしまった」

「そして、その大神殿から、一本の光線が、天空に伸びる」

「まるで、大宇宙の神に何かを伝えるかのように」


国連本部は、コンサートの生中継動画の閲覧数を見て、驚いた。

「30億を超えている・・・パソコンなど持たない貧困国を考えれば・・・」

「ほぼ、地球上の全ての人が見ている」

「あの少年と、オーケストラの演奏に魅入られている」


復活交響曲は、全世界を魅了したまま、ついに最終楽章に入った。

この交響曲の白眉とも言える大合唱になった時点で、天を見上げる人が多くなった。

涙が流れるまま、手を合わせ、あるいは手を組み、天を見上げる。


光の指揮と、紡ぎ出される音楽は、さらに壮麗さと力強さを増した。

そして、それに応じて、全世界の鏡も、その輝きを増し、そこから天空に伸びる光線も輝きを増す。



NASAや世界の観測機関は、驚きに包まれている。

「すでに、大隕石は・・・消え去りつつある」

「全て、極小に粉砕されて・・・あれなら地球に全く害が出ない」

「それにしても、普通の光線ではないのか?」

「とても、光速の速度ではない」

「科学を越えた・・・これは神の光線なのか・・・」


復活交響曲は、ついにクライマックスに入った。

光は、思いっきり足を踏ん張り、胸を張り、指揮棒を振り続ける。


足を踏ん張り、胸を張るのは、光だけではなかった。

日比谷野外音楽堂に集まった全ての聴衆、全世界に設置された鏡の前で見ている人々、ネット動画で見ている人々の全てが、同じように足を踏んばり、胸を張る。


そして、全ての聴衆が感じた。

「うわ!眩しい!」

「コンサートホールは、ただの大神殿だけでない!」

「光り輝く黄金の大神殿に見える」

「なんと激しく強く、心地よい音か!」

「足を踏ん張っていないと倒れる、倒れたくない」


復活交響曲の最後は、力強く、荘厳極まりない、大クライマックスとなった。

光は、指揮棒を天を刺すように高々と掲げ、指揮棒を止めた。


そして、光はしばらく、そのままの姿勢で動けない。

しかし、聴衆は、光が動き出すのを待てなかった。

「ウォーーーーー!アーーーー!」

「すごいーーー!よかったーーー!」

光がステージに登場して来た時以上の、大拍手と地鳴りのような足踏みが、鳴り響く。


光の指揮棒が、ようやく下におりた。

そして、少し身体をふらつかせながら、聴衆に振り返る。

すると、聴衆全員が総立ち、大拍手が光を包み込む。


光は、本当にうれしそうな顔。

「ありがとうございました!」


きれいなテノールが、会場全体に響き渡っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ