超高級懐石を食べる光と巫女たち 光のスマホに何かが
巫女たちにとって、光と華奈の「認めることなどできない」会話はともかく、さすがに超高級懐石料理は美味しくてたまらなかったようだ。
まず、先付として、
「鯛ざく、もみ胡瓜、茗荷、海月、糸南瓜、生姜酢」。
春奈はこの時点でウットリ。
「うん、文句のつけようがない」
「全てが絶品」
ソフィーも目を丸くして食べている。
「素材も完璧、生姜酢が、また泣ける」
これには、光も他の巫女も、ただ目を輝かせて食べるのみ。
次に前菜。
「茄子胡麻寄せ、べっ甲餡、生姜」
「鰯オイル蒸し」
「枝豆奉書揚げ」
「トマト帆立真丈鋳込み」
「玉ねぎかき揚げ」
「石川芋真砂寄せ」
光は、茄子の胡麻寄せがお気に入り。
「茄子も美味しいし、まさかべっ甲の餡とは・・・」
由紀は鰯に驚く。
「コクがあるけれど、すんなり口に入る、これが難しいの」
ルシェールは枝豆好き。
「うん、これはいい、揚げ方も最上」
華奈と柏木綾子は、あまりにも美味しいのか、言葉が出ない。
ただ、食べるのみになっている。
その他、吸い物としては、真蒸のすまし仕立て。
御造りは、鯛、トロ、車海老。
焼き物として、明石鯛の天然塩窯焼。
煮物は、宮崎牛黒酢煮などが出された。
これほどの懐石料理を食べたことのない、外国人巫女たちは、最初から陶然と言った表情で食べ続ける。
キャサリン
「一品一品に細かい技術、洗練された味覚があふれている」
サラ
「どれも素材の味を十分に引き出す料理、古くからある技術も、新しい技術も、全て素材の味を十分に引き出すための、手助け」
春麗
「我が中国数千年の調理法にも由来するものがあるけれど、それを和風に昇華している、とにかく典雅な味」
そんな喜んで食事に没頭する光や巫女たちを見て、招待した由香利は満足そうな顔。
「うん、安心しました」
「喜んでいただいて、とてもうれしい」
光が、由香利の顔を見た。
「こういう料理がずっと食べられるように、将来に渡ってね」
由香利も光の顔を見る。
「うん、光君の言いたいことがわかるよ」
「そのために、世界を、地球を救うということだね」
他の巫女は、光と由香利のやり取りに、全く異論がない。
むしろ、それで気合が入ったような感じ。
ただ、そんな盛り上がった状態の中、光のスマホが光った。
光が珍しく素早くスマホの画面を見ると、少々驚いた顔。
そして、つぶやいた。
「あ・・・忘れていた、急がないと」
光の顔は、驚きから焦りに変わっている。




