日比谷公園に到着
光たちを乗せたバスは、日比谷公園に到着した。
楓との連絡通りに、柔道選手斎藤と、その仲間の柔道選手たちが光たちを出迎える。
光は斎藤に頭を下げた。
「斎藤さん、いつもありがとう」
斎藤は光の肩を抱く。
「いや、光栄だよ、俺は」
「こんなすごい後輩を持って」
「こんな時に警護出来るなんて、一生の思い出になる」
柔道の元オリンピック監督の坂口も、光に声をかける。
「会場は、満員だよ」
「首相も閣僚も全員テントの中で待っている」
光は、少し笑う。
「気が早いなあ・・・リハーサルも少しするのに」
「それでも挨拶ぐらいはしようかな」
ソフィーが光の言葉に、つい文句。
「少しは気を遣いなさい、滅多に全閣僚が聴くコンサートなんてないの」
江戸の大親分も光に手を振り、歩いて来た。
「会場の全てを、組の者が囲んだ」
「命がけで守るよ」
「任侠冥利に尽きるってもんだ」
光も、それにはうれしいようだ。
自ら江戸の大親分に握手している。
音楽部の祥子先生と学園長も光の前に歩いて来た。
祥子先生
「光君、みんな待っている」
「リハーサルしよう、少し緊張気味だよ、みんな」
学園長
「まあ、こんな大きな舞台で、世界から注目されているコンサート」
「緊張するなと言っても、無理がある」
光も、それには納得。
「はい、わかりました」と、頭を下げて歩き出す。
その光に、サッと寄り添ったのは華奈。
「ねえ、光さん、私もメチャ緊張して来た」
「足がフラフラする」
「ねえ、どうしよう・・・」
光は、その華奈にやさしい。
「大丈夫だよ、華奈ちゃん」
「上手になって来たよ、いつも通りで充分」
「僕の指揮棒を見て、いつも通りに」
華奈は、光にますます身体を寄せる。
「はい!光さんの言う通りに!」
「光さんのお父さまの指揮棒だから、私の義理のお父さまかなあ!」
と、そのまま光の手を握ろうとする。
しかし、華奈は光の手を握ることは出来なかった。
今度は、光の叔母奈津美とニケ、華奈の母の美紀が大きな荷物を持って歩いて来た。
すると光は本当にうれしそうな顔。
華奈の伸ばす手をかわして、その三人に向かって走り出す。
光の叔母奈津美が、向かって来る光に大きな声。
「大好物持って来た!特製海鮮散らし寿司だよ!」
光は、見たこともないような笑顔になっている。




