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コンサート当日の朝

コンサート当日の朝になった。

いつものごとく、なかなか光は2階の部屋から降りて来ない。

朝食を前にして、全ての巫女はやきもきするやら、呆れるやら。


春奈

「ルシェールが甘やかし過ぎるから、こうなる」

ソフィー

「皮肉を言い過ぎて追い出された春奈さんに、言う資格なし」

由香里

「ルシェールと愛の抱擁をしているのかもしれない」

由紀

「その前に、まだ眠っているかも」


結局、我慢が出来なくなった華奈が階段を駆け上がる。

そしてノックもせずに部屋のドアを開けて大騒ぎ。

「ねーーー!光さんもルシェールも早くして!」

「もう着替え完了でしょ?」

「何で今さら楽譜を見るの?」


その華奈の大騒ぎに、楓がヤレヤレと階段をのぼって光の部屋に。

ただ、その口から出て来る言葉は、いかにも楓らしい。

「光君、お腹減った」

「すごく美味しそうなトマトチーズリゾットだよ」

「ソフィーが作った、といっても、ニケのレシピ」


その楓に光が反応した。

「うん、アンコールの女性コーラスの編曲したの」

「ルシェールにチェックしてもらった」

「ニケのレシピのトマトチーズリゾット?」

「じゃあ、行くかな」

と、ようやく立ち上がる。


さて、朝食は大好評でスンナリと終わったけれど、その後が大変なことになった。

光が、「アンコールの女性コーラスの練習をする」と言い出したのである。

そして、その練習が実に厳しかった。


何しろ、光の要求が実に細かい。

「ソフィー!声が揺れる、アルトがしっかり支えないと」

「春奈さん、もっとお腹から声を出して!」

「由香里さん、高音がふらつく、もっと腹筋を」

「由紀さん、ソフィーと春奈さんの姿勢をなおしてあげて」

「ほんと、文句ばかり言って、ソフィーも春奈さんも、しっかり歌って」

「いい?全世界中継なの、気合を入れて!」

「楓ちゃん、声が大きければいいってもんじゃないの、音程を考えて!」

「華奈ちゃん、もっとピアノを聴いて、そこで飛び出さないで」

「綾子ちゃん、声が小さすぎる、口が開いていない」

「キャサリン、もっと胸を張って」

「サラは、少し遅れる、周りをよく聴いて」

「春麗もキャサリンと同じ、もっと胸を張って」


・・・・そんな状態が約1時間、光は「まあ、こんなものか」と練習を終えた。

巫女たちは、疲れてソファに座り込む。

春奈

「はぁ・・・年を感じる」

ソフィー

「うん、マジで光君が悪魔に思った」

由香里

「でも、ルシェールは完璧で何も言われなかった」

由紀

「確かに、文句のつけようがない」


他の巫女もブツブツ言っていたけれど、その顔はすぐに笑顔に変わった。

ルシェールが、冷蔵庫にしまってあった大量のシュークリームとエクレアをドンとテーブルの上に置いている。

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