表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
250/303

VSアポなし国会議員(1)

「先生方、何の御用なのでしょうか」

「少なくとも生徒本人の了承も得ずに、勝手に映像を撮るのは、何の理由があるのですか?」

春奈は、聞いたこともないような厳しい口調。

校門前に集まっていた数人の国会議員と、テレビ局の腕章をつけたカメラマンに問いただす。


その春奈に応えたのは、中年のスーツを着た女性議員。

とにかく喧嘩腰の政府追及を得意として、有名な人。


「何を勘違いしたことを言っているの?」

「私たちは、国権の最高機関の立法府、国会議員なの!」

「その私たちに対して、その言い方は何ですか?」

「あなたは、ここの学園の教師なの?」

「少しは、物の言い方をわきまえなさい」

「私たちの用向き?」

「私たちが、ここに立っていて何の問題があるの?」

「問題があるのなら、それを、しっかり述べなさい」

「私たちには、国政調査権があるんです」

「お宅の生徒の撮影も、国政調査の一環です」


とにかく、女性議員の言葉は喧嘩腰、その高い声が、校門周辺に響き渡る。


その女性議員に続いて、少し若めの男性議員が、春奈を責め始めた。

「貴方は、少なくとも、私たちを国会議員と知っていて、厳しい口調で私たちに問いかけた」

「これは、国権の最高機関である立法府に対する愚弄と恐喝である」

「全く敬意のカケラもない」

「もっと言えば、反国家思想の持主なのか」

「そんな、不見識極まる教師を、ここの学園は採用しているのか」

「実に問題である、国会質問で取り上げる」

「いや、不健全高校追及プロジェクトを立ち上げて、市民と連携し、連日の校門前でのデモも辞さない」


ソフィーは、国会議員の発言の酷さに呆れた。

「春奈さんは、学園教師として、当然の対応、厳しくもなんともない」

「でも、国会議員たちの、驕り高ぶりが酷い」

「不逮捕特権をカサに着て、何でも出来ると思っている」

「ただ、これは、国際問題にもなるよ」


ソフィーは、キャサリン、サラ、春麗に目配せ、国会議員たちの前に進み出た。

「公安庁のソフィーと申します」


国会議員たちも、凄腕のソフィーの名前は知っているらしい。

一瞬はひるむ。

しかし、すぐに反発を開始する。

「何だ?そこの官僚!」

「何の用?私たちは一般人ではないの」

「まさか、官僚の身分で、国会議員に意見するのか?」


ソフィーは、首を横に振る。


「いえ、先生方、それは申しておりません」

「むしろ、先生方を心配してのことです」

「今、先生方のお連れのテレビ局さんですか、撮影された中に」

「アメリカ政府、ギリシャ政府、中国政府から保護を要請されている女子学生が3人います」

「もちろん、勝手な撮影などは許されてはおりません」

「それでも、撮影をされるとならば、外交問題にもなりますし」

「もちろん、先生方の言動も含めて、彼女たちの本国政府にも連絡をすることになりますし、マスコミにもリークされるでしょう」

「もし、それで、国内的にも、国際的にも大きな批判を浴びることになったら、どういう責任を?」


最初は居丈高だった国会議員たちの表情が、蒼ざめたものに変わっている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ