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コンサートの練習は続く 傲慢新聞記者を退治する。

光の学園音楽部のコンサートは、11月23日、開演は午後7時。

コンサートホールの会場予約から、当日の世界中継設備、会場警備も全て日本政府が担当、それに加えて国連や各宗教界も協力を行うことになった。


さて、そんな話を官房長官から聞いた光は、あまり表情を変えない。

「指揮棒を振るほうが大変」

「下手に振ると、グジャグジャに壊れる」

「そんな演奏を世界に聴かせたくない」


その光の気持を感じ取っている音楽部や合唱部も懸命に練習に励む。

「うーーー本番でミスしたくないよ」

「本番でミスしたら、世界中に?」

「録画されたら、一生残る」

などなどで、まずはミスを気にしている。


それでも、練習は順調に進むけれど、面倒なことも時には起こる。

学園音楽部コンサートの事前取材を目的として、某全国紙の新聞記者が学園の敷地内に入って来たのである。

尚、この全国紙は、かつて煽り運転を常習的に行っていた警察官と懇意な記者が、警察官が死亡事故を誘発したのにも関わらず、加害者の警察官を擁護する記事を書き、社会的な批判を浴びたことがある。


まず、その新聞記者が向かったのは、学園事務室。

「お宅の学園の音楽部の取材をお願いしたい」

「何でも、無理な演奏会を開くって情報を聞いたんで」


学園事務室は、難色を示した。

「今回の取材に関しまして、貴社より事前連絡を承っておりません」

「それから、当学園は各マスコミからの取材に関しては、必ず事前に文書にて取材内容を通知いただき、学園長がその内容を了承した場合に限り、取材をお受けすることにしております」


しかし、その新聞記者は、引き下がらない。

「は?何を寝ぼけたことを言ってんの?」

「仮にも、全国紙の記者が取材してあげるって言っているの」

「お宅の方から、頭を下げて、是非、お願いしますというのが世間の決まり」

「それを、事前に文書連絡だことの、学園長の了承?」

「あんたたち、馬鹿じゃないの?」

「仮にも高校生レベルの技術の低い楽団が、こともあろうにマーラーの難曲復活交響曲を演奏するって噂が出たから、来てあげたのに」


それを言われても、学園事務室は、頑として取材を受け付けない。

「何を言われましても、それが当学園の理事会で決定された方針にございます」

「ここは一旦お引き取り願いまして、再度文書にて、取材をお申し込み願います」


頭に血が上り、また大騒ぎをしようとした新聞記者の前に、ソフィーが立った。

そして、その後ろには、おそらく練習を見に来たのか、岩崎義孝。


ソフィーは公安調査庁の名刺を、新聞記者に提示。

「あんたね、何の目的か知らないけど、世間の常識を知らないのはあんただよ」

「ほんと、高飛車極まる新聞社だねえ、例の煽り運転の警察官とつるんでいた新聞社だよね、まだ、そんなことをやっているのかい!」

「並の礼儀ある社会人なら、取材先に敬意を持って対応するのが当然」

「それどころか、どう聞いても、あんたの取材には、それが感じられない」

「学園の方針を無視して、懸命に難曲に取り組む高校生を馬鹿にして」

「一体、本当の目的は何?ただ、単に貶め記事を書きたいだけ?」

「だったら、ネットにあふれるおバカコメントと同じだよ」


ますます、顔を赤くする新聞記者にソフィーは、意味ありげな顔。

「今のあんたの発言、官邸と警察庁、各マスコミ、ああ、あんたの社にも動画で送ったよ」

「どうなることやらね、楽しみだよ」


身体を震わせ出した新聞記者に岩崎義孝は、厳しい顔。

「おい、俺の顔はわかるな」

「全く気に入らない、今後、我が企業グループは、お前の新聞社に一切広告を出さない」

岩崎義孝は、早速スマホを持ち出し、誰かと電話を始めている。

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