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巫女たちの不安の中、楓が突然登場。

光は家に戻り、ルシェールの胸に顔を包まれている。

これには他の巫女も、何も文句が言えない。


皮肉屋と化した春奈でさえ、邪魔をしない。

「あのふくよかさでないと、光君の心の傷は癒せない」

「私は残念だけど、負けた」

同じく豊満な胸を持つサラも、あきらめ顔。

「とにかく光君の心の傷がひどい、私は戦闘系の巫女だから、癒しきれない」


ソフィーが、ため息をついて、全ての巫女に語り始めた。

「官邸で、光君が阿修羅になって、全世界の為政者に語ったことは、ここにいる全ての巫女は当然、全世界の宗教関係者のトップにも届いている」


巫女たちが頷くと、ソフィーは続けた。

「ただ、光君が阿修羅の目を通して感じ取った通り、私も観音力で見えてしまったの」

「悲しいけれど、実に邪な為政者と宗教関係者が多い」

「この地球壊滅の危機を悪用して、私利私欲に走る」

「治安維持を目的として、自らの権威の保全に走る」


由香里が、ソフィーの懸念を具体的に表現する。

「鏡の製作にしても、業者選定で賄賂を求めるもの」

「出来上がった鏡に、自らの名前を刻印させようと考えているもの」

「治安維持を目的に、政敵を強制的に排除しようとするもの」

「下手をすれば政敵の集団の集団リンチから虐殺まで、つながりかねない」

「それは俗界の政治家に限らず、宗教者も全く同じ状態」


由紀の瞳からも、涙があふれる。

「光君の心の中に、そんな悪念が大量に、しかも一気に流れ込んで」

「辛すぎるよ、そんなの」


柏木綾子の声も震えた。

「私が真言立川流の生贄にされかかった時も・・・」

「諏訪大社のサクチ神の男子生贄だって・・・」

「結局、自らの命を・・・自分たちの共同体を守るために、私利私欲のために誰かを殺す」


華奈は結局、我慢出来なかった。

大泣きになって、光の身体にしがみつく。

「光さん、華奈もいる、みんなもいる」

「だから、そんなに苦しまないで・・・その苦しみをみんなで」


これには日ごろ表情を崩さないキャサリンも泣き出した。

「ごめんなさい、お身体の警護ばかりで・・・お心を護れず」

「私たちが光さんを欲するばかりで・・・ほとんど役に立っていない」


春麗は華奈を手招きした。

華奈がキョトンとした顔を春麗の前に行くと、少し笑う。

「こういう時こそ、滋養強壮」

「ここで嘆いていたら、光君を心配させちゃう」

「光君とみんなを元気づけるスープを作ろう」


華奈が頷いて、春麗と一緒にキッチンに歩き始めた時だった。

玄関のチャイムが鳴り、そのままガタンと玄関が開く音。


すると疲労困憊のはずの光が、むくっと身体を起こした。

そして、焦り顔を見せる。

「やば・・・うるさいのが来た」


リビングのドアが、何のノックもなく開いた。

そして、大声が降って来た。


「こらーーーー!この大アホの光君!」

「ルシェールの胸でムニュムニュって何事?」


巫女たちは、耳を押さえる時間もなかった。

リビングの入り口に、大きな荷物を持った楓が立っている。


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