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官邸の特別対策室にて 光は帰途にて涙を流す

大天使ガブリエルが話を続ける。

「今回の戦いには地球上の善も悪もありません」

「地球を大隕石からの壊滅から守るためには、善も悪も、争う必要がないのです」

「わかりますか?地球が壊滅すれば、地球上の善も悪も滅びるのですから」


全閣僚が頷く中、大天使ガブリエルが再び話を続ける。

「ですから、地球を存続させたいのなら、出来る限りの思いで願うこと」

「どの神でも構いません」

「地球を存続させたいとの思いを、様々な神が各地に設けた鏡に送ります」

「そして、その力が結集され、大宇宙の大隕石に照射、大隕石を破壊することになるのです」


阿修羅と大天使ガブリエルの話は、そこで終わった。

官邸の特別対策室は、一瞬、眩さに包まれ、その眩さが消えると、阿修羅と大天使ガブリエルのいた席に、光とソフィーが座っている。


ソフィーが首相以下、全閣僚に声をかけた。

「これで光君と私は、一旦、家に戻ります」

「光君は、今の話で、相当精神力を行使しました」

「今は、座っているだけ、意識もほとんどありません」

「その前には演奏家としてのステージもありましたので」


確かに光は、疲労困憊の様子。

これでは、首相も他の閣僚も、声のかけようがなかった。


首相はソフィーに頭を下げた。

「了解いたしました、それではソフィー調査官、いや大天使ガブリエル様」

「無事に光君を休ませるよう、お願いいたします」

「これから、全閣僚で阿修羅様と大天使ガブリエル様のご指示を具体的に検討いたします」

「治安維持と国民の心の安定、それは全世界においても共通の必須課題」

「各国政府においても、当然、取り組みの第一に掲げている課題」

「その課題の強化について、更なる検討をいたします」


ソフィーは頷き、疲労困憊の光を抱きかかえて席を立った。

そして、帰りの黒ベンツに、そのまま乗り込む。


光の口が、少し動き始めたのは、黒ベンツに乗って、30分を過ぎた頃。

「うーん・・・」

まだ、声が弱い。


ソフィーは、光の髪を撫でた。

「無理しないでいい、まだ寝ていて」

「家に入ってから、回復したらお話しよう」


光は、その言葉で、ホッとしたようだ。

また、意識を失ってしまった。


ソフィーは、その光が辛そうでならない。

「全世界の為政者の脳裏に、阿修羅として出現するなんて、恐ろしいほどの力を使ったんだ」

「その上で、理解ができる為政者ならいいけれど」

「私利私欲にまみれた為政者も多い、どこまで話を理解できたのか」

「地球存続のためと言いながら、治安維持を目的に、人民弾圧もしかねない」

「人心安定を理由に、信教の強制もするかもしれない」

「阿修羅は、そんな悪念も、瞬時に見抜く」

「そして、その悪念が、阿修羅の目のフィルターを通して、光君の心に映る」

「今の光君の苦しみは、その悪念の全てを一人で受けたから」

「阿修羅も・・・こんな純な少年に重荷を負わせすぎだよ」


目を閉じた光のまぶたの端から、一筋の涙がこぼれている。


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