お礼は笑顔、御朱印帳を渡す
信じられないほど簡単に危険な煽り男を退治してくれた光たちに、ワゴン車の家族は驚き、頭を下げる。
父親
「本当にありがとうございました、安心しました」
母親
「何度も死ぬかと思いました、それでまた追いかけられて鉄パイプまで持ち出されて恐喝されて」
その家族に、光。
「もう大丈夫、安心して楽しい旅を続けてください」
岩崎義孝も声をかける。
「どちらまで?」
すると6歳くらいの男の子が、にっこり。
「皆さん、ありがとう、東京ディズニーリゾートに!」
もう一人は、4歳くらいの女の子。
「ミニィちゃんと握手したいの」
そんな話が続く中、父親が再び頭を下げた。
「あの、お礼をしたいのですが、お名前などを教えていただきたく」
望月梨花が、その父親と母親に走り寄り、小声で全員の名前などを告げると、その父親と母親は、硬直。
「え・・・それは・・・恐れ多い」
光は、笑顔。
「お礼なんていりません、無事に楽しく旅行してもらうのが、一番うれしい」
さて、ワゴン車の家族と光、岩崎義孝が話をする中、後方では巫女たちが何かの作業をしていた。
そして、その作業も終わったようだ。
春奈が一冊の本のようなものを持って、運転手の父親に渡す。
春奈
「御朱印帳です」
「巫女さんが多いので、それぞれの神社などの御朱印を書きました」
その御朱印帳を受け取った、父親と母親は開いて見て、また驚いた。
「うわ・・・すごい・・・」
「伊勢神宮、春日大社、住吉大社、諏訪大社、寒川神社」
「これは・・・阿弥陀如来、薬師如来、観音菩薩、地蔵菩薩」
「え?これは西洋みたいな呪印?」
「百合の花は聖母マリア・・・」
「アーサー王、アルテミス?日本語で下に書いてある」
「これは中国風の護符・・・九天玄女って書いてある」
光は、また笑顔。
「御朱印帳の表紙は、阿修羅の印」
「お守りです、良い旅を」
ワゴン車の家族が、再び頭を下げる中、光たちは全員サロンバスに乗り、そのまま出発した。
岩崎義孝は、清々しい顔。
「ああ、気持ちがいいなあ、喜んでもらえて」
光も笑顔。
「あの家族の喜んだ顔が、一番のお礼」
一連の動きを見ていた岩崎華は、感動に包まれている。
「人を助けて、喜んでもらえるって、こんなにうれしいことなんだ」
「お金なんてもらうと、そのうれしさが消える」
「そういうのを、スッと出来る光さんとお姉さんたち、いいなあ」
「おじい様も、光さんたちと一緒になってから、変わった」
「すごくきれいな顔になった」
「私も、何か、したいなあ、してあげたい」
我がまま放題に育ってきた岩崎華も、ここまでの変化を見せている。




