VS東名煽り男(1)
光たち一行が乗り、西伊豆にある光の叔母奈津美の温泉に向かうサロンバスは、
東名高速道路を当初は順調に進んでいた。
しかし、どうやら危惧することが持ち上がっているようだ。
巫女たちが、眠りからさめて、ブツブツと言い始めた。
「ねえ、あのポルシェ、おかしくない?」
「うん、その前のワゴン車に急接近したり、追い抜いて突然減速したり」
「ああいうのを煽り運転って言うの?」
「ワゴン車は・・・安全運転だよね」
「乗っているのは、家族連れかなあ、お父さんとお母さんと、小学生くらいの子が二人」
「抜きたかったら抜いて、そのまま走ればいいのに」
「あれだと単なる危険な嫌がらせ」
「何が気に入らないのかな」
「ワゴン車も嫌がっているみたい、サービスエリアに入って行く」
「でも、ポルシェも続いた、意味不明・・・」
そんな騒ぎが、耳に入ったのか、光が目覚めた。
そして、その迷惑ポルシェを見て、目を輝かせる。
「僕たちも入ろう、何か、危ない」
「気に入らない」
車窓から、煽り運転の様子を見ていた岩崎義孝も、頷く。
「その通り、何か嫌な感じがする」
ソフィーはタブレットを取り出し、早速ポルシェのナンバーから検索を開始し、顔をしかめる。
また、由香里はポルシェに貼られた小さなシールを凝視。
そのまま、父である江戸の大親分に連絡を取っている。
さて、光たちの乗るサロンバスがサービスエリアに入ると、予想通り、ポルシェから出てきた若いリーゼント男と、家族連れとのトラブルが始まっている。
リーゼントの男が、いきなり怒鳴る。
「おいおい!何だ!俺様のポルシェの前を、トロトロ走りやがって!」
「お前らみたいなノロマは、東名なんて走る資格は無い!」
「とっとと次のインターで降りろ!」
「それから、わかってるな!迷惑料を最低10万!」
ワゴン車を運転していた、家族連れの、おそらく父が反論。
「制限速度で走って何が悪い!」
「あんたのほうこそ、メチャクチャな運転で」
「警察に通報するぞ!」
しかし、そのリーゼント男は、引かない。
それどころか、せせら笑う。
「は?警察?そんなの関係ねえって!」
「すぐには来ねえ!んなの!」
「それにな、もうすぐ俺らの仲間も来る」
「ああ、お仕置き道具をたくさん持ってな」
とまで言って、まずはポルシェの中から、鉄パイプを取り出している。
タブレットを使ってポルシェのナンバーから検索をしていたソフィーが光を見る。
「あのガキは、大手不動産会社のドラ息子、県知事の後援会幹部の息子」
「それで、いつも県知事が揉み消しをしているみたい」
由香里も、父である江戸の大親分と連絡がついたらしい。
「もともとはチンケな極道の子だったみたい」
「それが県知事の秘密を握って、後援会幹部に」
「だからやりたい放題らしいね」
光は、そこまで聞いて、そのままトラブルの場所に向かい、歩き出した。




