神前奉納コンサート第一部終了 華奈の策略?
キャサリンの性格そのものの、キチンとした演奏は、聴衆をすっかり魅了した。
「背筋がシャンとなる」
「トランペット独特のキラキラ感もいいね」
「聞き惚れる演奏だよ」
「光君のピアノ伴奏は、本来オーケストラ伴奏を編曲したんだね」
「それにしても、二人の息がピッタリ、恋人みたい」
万雷の拍手を受けての二曲目は、サラのチェロによる名曲「シューベルトのアルペジョーネソナタ」
これも出だしから、聴衆はうっとり。
「今度はしっとり系」
「キャサリンは超美少女だたけれど、サラはグラマーな美女タイプ」
「身体もふくよかで、音色も音楽もふくよか」
「光君は、サラの呼吸を読み切って、上手に支えている」
「はぁ・・・うっとりする」
サラも万雷の拍手を受けて曲を終えると、今度は春麗がフルートを持って登場。
早速、「モーツァルトのフルートソナタ」が始まった。
「うわ!可愛い!」
「うん、お人形様みたいだ」
「フルートも軽やか、いいなあ、モーツァルトも」
「天上の音楽って感じ」
「光君がピアノをキラキラ気味に響かせてる」
「ソリストも凄いけれど、光君って伴奏者でもいいね」
「とにかく、かっこいいなあ」
「モーツァルトのフルートソナタ」が終わり、春麗も同じように万雷の拍手を受けていると、キャサリン、サラも再びステージに登場、光と並び立ち、また凄まじいほどの拍手を受ける。
望月梨花が、ここでアナウンス。
「これを持ちまして、第一部の演奏を終了いたします」
「第二部は15分の休憩後となりますので、しばらくお待ちください」
さて、そのアナウンスを受けて、光たちは特設ステージの脇に設けられた楽屋に入った。
ルシェールが全員に声をかける。
「まずは、キャサリン、サラ、春麗、光君、素晴らしい演奏でした、お疲れ様」
「第二部は、華奈ちゃんがバッハのヴァイオリンソナタ」
「私と、由紀ちゃん、由香里さん、綾子ちゃんのコーラスでカッチーニのアベマリア」
「そしてラストが光君のピアノソロで、ベートーヴェンの月光」
光を含めてプログラムを再確認するけれど、華奈が震えている。
そして光に、ふらふらと近づく。
「ねえ、光さん、ドキドキしてきた」
「だって、キャサリンもサラも春麗も上手過ぎ」
「どうしよう・・・恥ずかしいよ、私」
そんな華奈に、光は実にやさしい。
「大丈夫、華奈ちゃん」
「以前より、相当上達した」
「晃子さんも褒めていた」
「ゆっくり大きく弾こうよ、それでいい」
それでも、華奈は不安。
「ドキドキする・・・怖い」
「光さん、何とかして」
光は、仕方ないと思ったようだ。
「じゃあ、華奈ちゃん」
と、しっかり抱きしめてしまう。
すると華奈は全身が真っ赤、周囲の女性たちの顔も真っ赤。
しかし、周囲の女性たちの赤い顔は、「これは華奈の策略に違いない」からの怒りが原因となる。




