諏訪大社に到着 神前奉納コンサート開始
光たち一行のサロンバスが、諏訪大社の駐車場に到着すると、望月梨花からの連絡を受けていた、宮司が出迎える。
宮司は深く頭を下げる。
「このたびは、光様、岩崎様の御尽力で、悪党どもを退治していただいたうえに、その後のフォローまで」
「それに加えて、神前奉納コンサートまで」
「何とお礼を申し上げたらいいのやら」
「それから、その前には綾子と、その両親を真言立川流の悪辣な輩から救い出していただき」
光は、神妙に宮司の手を握る。
「あまり、お頭を下げられずに」
「これも、僕の使命なんです」
「それから、僕の周りの、御神霊たちも、しっかりと協力をしてくれて」
宮司は、目を潤ませて光の顔を見る。
「はい、理解しております」
「光様、実はこの世でただ一人の最高神阿修羅様の宿り子」
「ここで、握手をしていただいたこと、一生の記念になります」
「諏訪の神も、喜んでおられます」
光は、話題を変えた。
「そろそろ。コンサートの準備をしたいのですが」
そして、恥ずかしそうに笑う。
「まだ、駆け出しの、演奏家なので」
宮司もようやく笑顔、しかし首を横に振る。
「いえいえ、光様、あの東京駅での第九の演奏」
「こちらでも動画サイトにより、大評判になっております」
「その光様が演奏なさるのですから、諏訪の大神様は大喜び、もちろん参拝客もすごいことになって、待ちわびております」
「それでは、本殿前の特設ステージに」
宮司の言葉通りに、本殿前まで案内されると、既に少し大きめのステージが設営済み、そのステージの上には、ピアノも設置されている。
また、ステージの周囲にはスピーカーなどの音響設備も設置されている。
それと、指揮棒を振る光の大きな看板が、「神前奉納コンサート」と書かれ、何か所かに設置してある。
そして、歩いて来る光たちの一行を見た、参拝客から拍手や歓声が起き始めている。
望月梨花が光に確認。
「さっそく演奏を始めます?」
光は、ステージの周りに集まってしまった客の多さに仕方ないと思ったようだ。
「うん、何かやる」
そして、全員がそのままステージに上ると、ものすごい拍手と歓声が沸き起こる。
望月梨花
「おそらく千人は超えているかと」
光は、少し考えて、キャサリンを見た。
キャサリンも、光の意図を察したようだ。
早速トランペットをケースから出して、軽くウォーミングアップ。
その様子を見た宮司が司会に立った。
「それでは、皆様、お待たせいたしました」
「ただいまより、演奏を開始いたします」
光のピアノがピアノの前に座ると、キャサリンがトランペットを構える。
そして一曲目、「ハイドン作曲のトランペット協奏曲」が華やかに、軽やかに鳴り響いて行く。




