そばの歴史 信州そばの店に到着
信州そばの店が近づいて来たので、望月梨花が旅行添乗員として、説明を始める。
「そばは厳しい気象条件の荒れ地でも育つことから、世界中に広く栽培されていて、日本でも古くから食べられてきました」
「信州は冷涼でやせた土地が多く、良質なそばがとれたことから、そばの名産地となりました」
「そばの食べ方としては、もともとは、そばがきやクレープのようなものが一般的」
「日本独自で、麺状にして食べています」
「そば切りという食べ方で、江戸時代から広まりました」
「手軽な食べ方として江戸に伝わり、屋台で庶民に愛され、やがて日本中に広がりました」
「また、江戸時代に幕府の命令によって大名の国替えが行われた際に、信州のそば職人達を連れて行ったことから、各地に有名なそば処が誕生しました」
「島根の出雲そば、兵庫県豊岡市の出石そば、福島県会津の会津そばになります」
ルシェールがフランスのブルターニュでの食べ方を紹介する。
「そば粉でクレープを作るの」
「そのクレープの上には玉子、ベーコン、チーズ、薬味とか様々」
「それと、リンゴ酒が定番」
「最近は、横浜とか渋谷でも食べられるみたい」
光が珍しく口を開く。
「僕は、そば切りというか麺でなくてもいいかなあ」
「そばがきは好き、かつお節と醤油だけの味付けで」
「質素というかシンプルそのものなんだけどね」
由香里も発言。
「私は江戸育ちなので、神田の藪そばには親父と通った」
「もともとはお菓子のような、小腹を満たす程度」
「汁も濃いけれど、それが病みつきになる」
さて、そんなことを言っていると、サロンバスは信州そばの店に到着。
全員がゾロゾロと降りて、信州の澄んだ空気を満喫。
また、都内とは異なる山の風景を見る。
華奈
「全然、空気感が違うね、綾子ちゃん」
柏木綾子
「うん、あの山を見るとホッとする、故郷に帰って来たって思うの」
岩崎華は、信州そば店の近くの看板に注目。
「へえ、国会議員だよね、ここの店にも関係あるのかな」
ソフィーも、その看板をじっと見る。
「おそらく後援会か何かかな」
「そうなると、ここで情報が取れる」
「古そうな由緒もありそうな店だし」
さて、望月梨花が店に入り、店員に名刺を提示すると、相当に驚いた様子。
大きなそば店であるけれど、年配の店主と奥様だろうか、走り出て来た。
「これはこれは、岩崎様」
「こちらで特別室をご用意いたします」
「お連れの方々も、是非、ごゆるりと」
さすがに日本の最大財閥の当主、岩崎義孝には、深く頭を下げる。
岩崎義孝は胸を張る。
「ああ、ありがとう、わざわざ」
「それから、少し教えてもらいたいこともあるので」
「食事が終わったら、少し付き合ってもらうことになるけれど」
そば店店主は、「はい・・・何なりと」と、深く頭を下げている。




