信州旅行出発当日の朝
週末、信州旅行出発の当日の朝を迎えた。
いつもの通り、光がルシェールに起こされ、ヨロヨロと階段をおりて行くと、すでに巫女、岩崎華、望月梨花たちは全員がテーブルについている。
光がテーブルにつくと、ソフィーが光を「この寝ぼけ顔」とにらみながら、今日の行程を説明する。
「朝食の後、7時半にサロンバスが到着します」
「すでに、岩崎義孝さまが乗られ、自宅を出発されています」
「尚、万が一の警備を考え、公安庁の車が前後を固めます」
ソフィーの顔が厳しくなった。
「今回の目的は、八ヶ岳からの天空観察がまず第一」
「つまり地球を破壊するほどの大隕石の動きを見る」
「それから、当面の問題の童男生贄のたくらみの阻止」
「それについては、公安の総力をあげて情報精査中」
「その結果を見て、元凶の場所と人物を特定」
「そして、叩き潰します」
ソフィーはそこまで話をして、望月梨花に目配せ。
すると、望月梨花が立ち上がって、話をする。
「諏訪大社にて星空を見ながらの野外コンサートになります」
「すでに演奏許可をいただいております」
「演奏補助を行うスタッフも、すでに現地入り」
「万全の準備を行います」
光の目が、ようやくしっかりと開かれた。
「僕のピアノと、華奈ちゃんのヴァイオリン、サラのチェロ、キャサリンのトランペット、春麗のフルート、由紀ちゃんと由香里さん、ルシェール、柏木綾子ちゃんの女性コーラス」
「曲は、クラシック」
「バッハとモーツァルト、ドビュッシーくらい」
「もちろん、その演奏の前に、諏訪大社に参詣となる」
春奈は、しっかりと説明する光を見て思った。
「実に、音楽だけは真面目だ」
「でも、その前に、悪党退治がある」
「阿修羅に変化して、その後、疲れが出るかなあ」
「それが不安だ」
その春奈に、ルシェールから、巫女テレパシー。
「ご心配なく」
「私が露天風呂で、ゆっくり癒します」
春奈は、「おっとりルシェール」の積極性に焦った。
「え・・・何?それ・・・私も、それしたい」
「ルシェールの前に、ずっと一緒に住んでいたけど、一回もないよ、そんなの」
すると、今度は由紀のテレパシー。
「春奈先生、教師の立場をわきまえてください、それ、わかっていますよね」
「でも、私もたまにはいいかなあ」
由香里は、余裕のテレパシー。
「一度、光君とお風呂したことある、光君が真っ赤で面白かった」
「また、一緒して、胸ムギュする」
その巫女テレパシー会話にムッとしたのか、華奈が乱入。
「あのね!豊胸だけが女の魅力でないの!光さんだって、私みたいな清らかな美しさをわかると思うよ」
華奈の次に、柏木綾子も、結局乱入。
「でも、私、華奈ちゃんには勝てるよ、今回は諏訪様だから、私がメインになるのでは?」
キャサリンも我慢できない。
「面倒です、光君が全員をハグすればいいんです」
サラも同調。
「何のための混浴露天風呂なんですか?有効活用するべきです」
春麗は、光の顔を見る。
「・・・無理かも、朝食食べたら、もう眠そうだ」
そんな状況の中、チャイムが鳴った。
「さあ、出発しましょう、良い天気です」
インタフォンから岩崎義孝の声が聞こえて来た。




