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VS生贄復活集団(1)

黙っていた岩崎義孝が口を開いた。

「この時代に、とても許し難いこと」

「人柱とか人身御供とか、他人を無理やり犠牲にして、自分たちの幸せを確保しようなど、実に気に入らない」


岩崎華も綾子の手を握る。

「綾子ちゃん、そんな悪党、つぶしましょうよ」

「私たちと同い年の男の子でしょ?」

「それを生贄にして、無理やり殺すなんて、酷すぎる、可哀想過ぎる」


ソフィーが綾子に尋ねた。

「綾子ちゃん、もしかして、その犠牲の男の子って?」


綾子の身体が、また震えた。

「はい、諏訪社の御頭衆の子供で、玉雄君、私のいとこです」

「その御頭衆の全てに、突然、お触れ文が回って」

「諏訪の神が、お怒りと」

「そのお怒りを鎮めるには。まやかしの生贄では足りない」

「時期は異なるが、古来の儀式にのっとり、神使いを復活せよと」

「それが満たされない場合には、恐ろしい神罰が下ると」


光の顔が厳しい。

「おそらく、星の運行でも読んだ」

「その中で、異常を発見して、それを諏訪の神の怒りに、こじつけた」

「それでなくても、日本は恒常的に地震が起こる国」

「その地震を神の怒りに結び付けるのは、たやすい」

「遠くで起こった地震を例にして、次は諏訪の地と脅す」

「まあ、邪霊が出てきて、御頭衆の誰かを、そそのかしたんだろう」


ソフィーが光の顔を見た。

「私、綾子ちゃんのご両親に逢って来る」

「御頭衆のデータを集める」

「そして、そんなお触れを出した輩を特定する」

「おそらく狂信的な人、あるいは狂信的な人に騙されやすい人かな」


光がソフィーに頷くと、ソフィーは早速、その行動を開始する。


春奈が光に声をかけた。

「ねえ、光君、難しい話ばかりで、実際どうしたらいいの?」

「確かに生贄の男の子なんて、つぶさないと困るけれど」


由香里も不安な顔。

「星の運行を読むとなると陰陽道なのかなあ」

「確かに信州は夜空の星はきれいと聞くけれど」

「それとか、修験者さんかなあ、そういうの詳しそう」


由紀は、また別の視点。

「確か諏訪様だけは、出雲に集合しないって聞いたことある」

「生贄も含めて、日本でも特異な神様」

「普通の日本の神社は、血の穢れを嫌う」

「とにかく清浄さを求めるから」


その光は、少し華奈に目をやって、答えた。

「その諏訪神社の歴史一般については、美紀さんに説明してもらう」


すると華奈の表情が一変。

「え?マジ?あの鬼母が来るの?」

「ねえ、電話かモニター画面でいいって!」


しかし、華奈の抑止は実らなかった。

玄関のドアがガチャリと開き、美紀がそのままリビングに入って来た。

そして、まず華奈の頭をポカリ。

「鬼母って誰?私、こんな子知らない!」

痛そうに頭を抱える華奈をフフンと笑い、美紀はちゃっかりと光の隣に座ってしまった。

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