学園文化祭(1)
学園文化祭当日になった。
音楽関係としては、スクールアイドルのパフォーマンスに光と軽音楽部が伴奏として参加。
軽音楽部自体のプログラムは、ビートルズの名曲を小編成のジャズコンボにて演奏、それに光も加わる。
合唱部は、クラシック名曲を合唱編曲した三曲。
音楽部は、ワーグナープログラムでタンホイザー序曲。
アンコールは光と音楽部顧問の祥子のピアノ連弾になっている。
最初のステージは、スクールアイドルののパフォーマンス。
光と軽音楽部が伴奏の席に着くと、スクールアイドルのきらびやかな衣装に身を包んだ女子たちが登場する。
尚、メンバーは華奈、柏木綾子、由紀、キャサリン、サラ、春麗、特別参加として卒業生の由香里。
またセンターはその曲によって変えるらしい。
春奈は踊り出す前のメンバーを見て、悔しさやら何やら。
「マジにみんな可愛い、でも、あれは弁財天様風の衣装が可愛いからだ」
結局見に来たヴァイオリニストの晃子も立腹気味。
「光君に声もかけられなかった、スタイルは自信あるのに」
「やはり年増ってこと?マジにエイジハラスメント?」
その言葉に、春奈香も深く頷いている。
ただ、「年増女」たちのジェラシーはともかく、スクールアイドルのパフォーマンスは、満員の聴衆の圧倒的に受けた。
「君の彼女」「君色に染まる」「金曜日のおはよう」の三曲だけになったけれど、次の軽音楽部がステージに登場しづらいほどの大盛り上がりになった。
さて、軽音楽部は興奮しきりの聴衆を、ビートルズのジャズ風バージョンでお洒落に落ち着かせた。
曲としてはこれも三曲。
「サムシング」「インマイライフ」「レットイットビー」だった。
ビートルズ好きの学園長は聞き惚れる。
「ほんと、プロ並みって、光君はプロだけど」
「ジャズを演奏させても、いいね、心に響く」
春奈は光の顔色をチェック。
「まだ大丈夫かなあ、去年は不安で仕方がなかった」
その春奈に華奈が余計なことを言う。
「今日はルシェールの朝ごはんだったから大丈夫」
春奈は、「自分では何も作れないくせに」と、華奈のお尻を叩いている。
ステージが落ち着いたところで、合唱部によるクラシック名曲。
これも三曲。
「メンデルスゾーン:歌の翼に」「バッハ:主よ人の望みの喜びよ」「ヨハンシュトラウス:ウィーンの森の物語」の定番。
大指揮者の小沢が舞台袖口で、光の指揮を見る。
「うん、この超定番を安定して振るのも、大切なこと」
音大の学園長も光の指揮に感心。
「とにかく聞き飽きたような曲を、これほど新鮮に聴かせる、それは歌心が指揮棒にあふれるから、一度光君の歌も聴いてみたい」
その隣に、ニケが立った。
これも光が疲れる時の特効薬の、「葉唐辛子のおにぎり」を大量に抱えている。
「うーん・・・ソフィーには任せられないの」
「味付けが、きつ過ぎるから」
ソフィーがムッとするのは無視して、光を見る。
「少しへばっているかな、やはり」
「まだまだ、体力不足だ」
確かに演奏し続けている光の顔は、ますます青白くなっている。




