VS滅びの集団(7)
全裸になってしまった尼僧の前で、弁財天は機嫌が悪い。
「なんだい!」
「阿修羅様が呼ぶから来て見れば!」
「素っ裸の娘?」
「あんた、気は確かかい?」
「チラッと聞けば、その裸を見せるって餌をやって」
「それで金をせしめて?」
「最後は破産させて、爆破?」
「は?何が清貧の教え?」
「何も身に着けない美しさ?」
「ふざけんじゃないよ!」
いきなり弁財天に叱られた尼僧は震えながらも反発。
「そんな、おきれいな服を身に着けるのは贅沢の極み」
「その陰で、どれほどの人が貧困にあえぐか」
「人は贅沢を慎み、地球を汚さず」
「あくまでも清らかに、神の言葉を授かるようにと生きなければなりません」
弁財天は、その尼僧の反発を鼻で笑う。
「は?ざけんじゃないよ!」
「この弁財天は豊穣の神」
「全ての人に生きる豊かさと楽しさを与えて来た神」
「お賽銭だって、ほとんど小銭で十分」
「お前みたいに、嘘を言って全てを巻き上げるなんて、非道なことは一度もしたことがない」
「それに何だい!水が汚れるから風呂に入るな?」
「風呂に入らなければ、身体から臭気が出るだろ?」
「その空気は汚してもいいのかい!」
「おまけに、その臭さだけになったお前の犠牲者を爆発させ」
「肉塊と血、汚物をまき散らして、何が浄化だい!」
「何が清貧だい!」
弁財天の反論で、窮地に陥った尼僧の足もとに、白い蛇が現れた。
弁財天が厳しい顔。
「縛っちまっていい、そんなバカ娘」
その言葉と同時に、白い蛇が裸の尼僧の全身に絡みつく。
阿修羅が呆れ顔。
「白蛇精まで来たの?」
弁財天が、クスッと笑う。
「いや、白蛇精が来たいって言い出してね」
「あんなバカ娘が増長すると、商売が出来ないとかさ」
「それと、阿修羅と言うよりは、光君が女の裸を見ているのが気に入らなかったみたい」
阿修羅が笑っていると、もう一体の異形が登場。
メデューサだった。
「臭い女は石で固めましょう」
その言葉と同時に、全裸の尼僧は、その姿に蛇が巻き付いたままで、白い石像になってしまった。
ソフィーが阿修羅の前で、三体の異形に頭を下げた。
「弁財天様、白蛇精様、メデューサ様、ご協力ありがとうございます」
弁財天は爽やかな顔。
「久しぶりに啖呵を切ってスッキリした」
白蛇精は光が心配。
「阿修羅様、光君が若い娘の全裸を長く見たんです、大丈夫でしょうか」
メデューサも心配なようで、阿修羅を見る。
途端に阿修羅は両手を胸の前で手を合わせ、光に戻る。
さて、光は、真っ赤な顔。
そして、実にうろたえている。




