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VS滅びの集団(4)

全身黒づくめの尼僧は、その顔を下に向けたままなので、年齢などはわからない。

ただ、背筋も真っ直ぐ、歩みも軽やかなので、老齢とは思えない。

その尼僧は、古びた鐘を鳴らし続ける。

また、その前を歩く異様な集団の声に違うことなく低い声で唱和、ますます周囲の恐怖を増幅させている。


「さて・・・」

阿修羅は、由紀の顔を見た。


由紀も、阿修羅の意図を見抜いていたらしい。

「はい!ただいま!」と、何かの呪文を唱えると、空中に夥しいほどの護符が浮かぶ。

「寒川様の八方除けの結界、完成いたしました」


すると、異様な集団と黒づくめの尼僧の足が止まった。

右往左往はするけれど、全く足が動かない。

黒づくめの尼僧が、古びた鐘を強く鳴らしても、前を行く集団は動かない、いや動けないようだ。

また、古びた鐘の音につられて、家を飛び出してきた人たちは、いつのまにか道路の脇に立っている。


阿修羅は、天空に浮かぶサカラ神に合図。

「さあ、思いっきりやってくれ!」

サカラ神は、笑顔。

「じゃあ、思いっきり!」と手に持った不思議な瓶を下に向けた。


それを見た華奈が、「え?」と驚いた顔。

柏木綾子も信じられないといった顔。

「あれは、瓶から、もの凄い数の丸い石鹸?それが泡になって、異様な集団の上に?」


キャサリンは笑った。

「そうだったんですね、あれで洗浄するんですね」

サラは目が点。

「阿修羅様、あの石鹸の元は?」

阿修羅がクスッと笑って答えた。

「うん、シリアのアレッポの石鹸が元、それにサカラ神の精神清浄力を混ぜた」

「だから身体の清浄と心の清浄も同時になされる」

春麗は納得。

「納得しました、剣も弓も鉾も打撃攻撃、物理攻撃なので、触れれば人間が爆裂死するのみ」


阿修羅は頷いて、再び上空を見上げると、建御雷の神が浮かんでいる。

その建御雷神は、じょうろのような物を、地面に向けて傾ける。

途端に香り高い液体が、既に清浄化された男たちの身体に流れ落ちて行く。


その動きを阿修羅が解説。

「シャンプーをしたので、次はリンスかな、トリートメントとも言うのかな」

「汚れた身体と心を洗い流したので、次は雑菌が取りつかないように」


ソフィーが阿修羅の前に立った。

「阿修羅様、異様な集団の男たちは、全て清浄に」

阿修羅は頷いて両手を合わせる。

途端に男たちの姿が消えている。

阿修羅

「全て彼らの故郷に戻した、何の記憶も残っていないはず」


春奈が阿修羅に尋ねた。

「残っているのは、あの黒づくめの尼僧だけになりますが」


「ああ、あれが元凶」

「中近東にある古くからの邪宗を起源に持つ」

「少々、厄介な相手ではある」

「これが本当の戦闘かな」

阿修羅の顔は厳しくなっている。


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