VS滅びの教団(2)
「うわ!」
「現場」に到着した巫女たちは、その惨状に顔をしかめ、鼻を押さえた。
その現場には、人が爆破して飛び散った肉塊や骨が散乱。
そして、まるで汚物のような匂いが充満している。
警察も駆けつけているけれど、あまりの酷さになかなか手出しが出来ない。
また、こらえきれずに、嘔吐する人も多い。
ソフィーが走り寄って来た。
「監視カメラで見る限り遠隔操作で爆破されたらしい」
「今、被害者の身元は確認中」
「と言っても・・・これほどバラバラでグチャグチャでは」
そのソフィーと巫女たちの前に、上空から阿修羅が降りて来た。
「こんな輩が集団でここに向かって来ている」
「とにかく付近の住民に避難指示を」
「戦闘が始まる」
ソフィーの顔も引き締まった。
「了解しました!」
と早速、タブレットを操作し、公安庁に連絡を取っている。
阿修羅の顔が厳しい。
「これは滅びの教団によるもの」
「彼らは占星術を用いて、巨大隕石の到来を予測した」
「滅びの教団だけが、救いの道を示す」
「と言っても、死後の平安に過ぎないが」
「しかし、滅びの教団に入らないと、やがて恐ろしいことが起きる」
「例えば、目の前で起きた人間の爆発のようなことが、起きる」
「そして、それは滅びの教団が崇める神の意思であると言う」
「もともとはそんな神はいない」
「単なる遠隔操作の爆弾が爆発したに過ぎない」
「その理由を知らない人間は、恐れ、従ってしまう」
「かくして稼ぎあげて来た財産はむしり取られ、その額が少なければ・・・」
阿修羅は、飛び散る肉塊を見た。
「あのように、爆破される材料となる」
キャサリン、サラ、春麗は、それぞれの御神霊の姿に変化している。
アーサー王と化したキャサリンが阿修羅にひざまずいた。
「聖剣エクスカリバーにて、不逞な輩を退治いたします」
アルテミス女神と化したサラもひざまずく。
「聖なる弓にて、全員を射殺します」
九天玄女と化した春麗は、長大な鉾を持つ。
「あんな邪霊など、振り払って御覧に入れます」
しかし、阿修羅は首を横に振る。
「いや、お三方、それはやめてくれ」
「肉塊と汚物が飛び散るだけになる」
「それよりは、別の手段を取る」
阿修羅はそこまで言うと、上空に浮かぶカルラ神を見た。
そして、その背中にサカラ神が立った。
阿修羅はサカラ神に向かって手を振った。
「サカラ!頼む!」
その阿修羅にサカラ神が応えた。
「思いっきりでいいかい?」
阿修羅がその声に笑うと、サカラ神は不思議な模様をした大きな瓶を持ち上げている。




