VS滅びの教団(1)
光の表情の変化は、即時に巫女たちの顔も厳しくする。
そして、光を交えてのテレパシー会話が始まった。
由紀
「まずはこの世の人だよね」
キャサリン
「人間であることは間違いがないと思います、でも・・・何かの狂信者」
サラ
「それは・・・何となく・・・記憶の中に・・・」
春麗
「死霊に操られ?・・・少し違うかな」
華奈
「私のクラスの子も見たって、何日もお風呂に入っていないような匂い」
柏木綾子
「私もどこかの宗教団体のような気がします、清らかを厭うような」
「中世カトリックにも、そんな一派があったような」
春奈
「光君、何か、わかる?」
光は、ゆっくりと言葉を選んで話す。
「おそらく、サラと綾子ちゃんの分析に近い」
「滅びの集団」
「つまり世界の終末を唱えて、贅沢を戒め、清貧のまま、救済者による救済を願う」
「彼らにとって、風呂に入ることも、贅沢」
「医者に行くとかもだめ」
「そんな金があるのと、教団に喜捨を求める」
サラが少しずつ思い出したらしい。
「古代中近東世界に起源を持つ占星術者集団があって」
「古くはイエスの誕生を知った三人の占星術者とか」
「それがヨーロッパにも伝播して、ノストラダムスとか」
「その中には、占星術者と称して、嘘を言いふらし、喜捨を募る集団もあった」
「神の教えと偽り、いたずらに社会不安を広げた」
「星の運行を見て、神の意思により世が乱れると言い、騒動を起こさせ、時の為政者を変えてしまう、ますます社会は混乱の一途」
「ほとんどは政敵や敵対する外国の指導者による情報攻撃だった」
「それが中世カトリックとどういう関係なのかはわからない」
柏木綾子の声が震えた。
「おそらく、その変質者は、ただ注目を引くための先兵のようなもの」
「そして・・・何か・・・怖いことが・・・」
その柏木綾子の言葉が、止まった瞬間だった。
「ギャーーー!」
と騒ぐ男の声が光の教室まで聞こえて来た。
そして、その声に続いて、
「キャーー!」「うわーーー!」との集団のような声。
光、由紀、キャサリン、サラ、春麗は、同時に立ち上がった。
廊下に出ると、華奈と柏木綾子、春奈も走って来る。
光たちが校舎を出て、空を見上げると鳥神カルラが浮かんでいる。
「急げ!人間が破裂した」
校門をから出ようとすると、金剛力士阿形。
「気をつけろ、集団戦になるぞ」
「わかった!」
光は、走りながら両手を胸の前で合わせた。
途端に、光の姿は阿修羅に変化している。




