春奈の生殺し ソフィーの苛立ち サラの夜這い
「すっごくドキドキする・・・」と何も出来なくなった春奈は、目を閉じてしまった。
とにかく恥ずかしくて光の顔を見ることができない。
その次の瞬間だった。
「わ・・・あ・・・やばい・・・」
春奈は、全身が震えた。
光が春奈の耳たぶを、軽くしゃぶっている。
「意地悪・・・」
春奈は、すでに涙目。
その涙目で光を見ると、笑っている。
「美味しそうだったから、いただきました」
「ご馳走様」
そこまでは、よかった。
光は膝までガクガクになった春奈をヒョイと抱き上げ、そのままソファの上にトンと置く。
そして呆気に取られる春奈をチラッと見ただけ。
「さて、明日の授業の予習をするかな」と、スタスタと階段をのぼり、二階の自分の部屋に入ってしまった。
春奈はあ然。
「光君・・・そういうことをするの?・・・生殺し?」
「マジに押し倒したくなった」
「でもなあ・・・わざわざ明日の予習って何?」
「教師としては付け入れない」
「火を付けておいて、意地悪だ」
「結局、私が食べられたってこと?」
「うーん・・・欲求不満だ」
その春奈の耳に、ソフィーから巫女テレパシーが飛んできた。
「あのさ、少しでも至福を感じたんでしょ?」
「文句言わないでよ、うらやましい」
「私なんて、マジにないよ、そんなの」
春奈は途端に「勝った!」とうれしくなった。
つい、顔もほころぶ。
ただ、他の巫女からのテレパシーはなかった。
いつもなら、大文句を言ってくる華奈からもない。
首を傾げる春奈にソフィー。
「あのね、私たち年増過ぎて、競争相手として見られていないみたい」
「マジに腹が立つけどさ、そういう態度って」
さて、そんな展開があったものの、光は明日の授業の予習を終えて、文化祭について、いろいろ考え、決めた。
「スクールアイドルの曲も決まった」
「軽音楽はブルースメドレーにする」
「合唱は、コンクールの自由曲とバッハにするかな、たまには」
「音楽部のオーケストラは、ピアノコンチェルト・・・ショパンにする」
「少し、忙しいかな、しっかりやらないと」
そして、実にスンナリと眠りに入ったけれど、夜半に違和感。
どう動いても、隣に女性の素肌を感じる。
というよりは、もっと密着、身体全体がふくよかな感じ。
光の胸の上には、女性の腕もある。
「サラ?」
光がその顔を動かした瞬間だった。
サラの唇が、光の唇の上に重なっている。




