春奈の光スリスリ作戦は成就するだろうか。
学園文化祭でのスクールアイドルダンス計画立案も無事に終了。
ソフィーは「公安で仕事がある」と家を出て行き、華奈も帰り、巫女たちはそれぞれ自分の部屋に戻るけれど、春奈はリビングに残った。
それは、光に、どうしてもスリスリとしたくなったため。
その光は、春奈などは見ないで、いろんな楽譜を見ている。
春奈は、「なにも自分を見ない」光が、面倒だった。
だから、いきなり光に迫った。
「ねえ、光君、話がある」
光は、それでも春奈を見ない。
「え?春奈さん?どうかしたの?」
春奈は、そんな光の態度が気に入らない。
「その、どうかしたのって何?」
「どうかしたいから声をかけたのに」なので、実に気に入らない。
しかし、気に入らないけれど、実は確かな具体的な用事があるわけではない。
できれば「スキンシップがしたいなあ」と思うだけなのだから。
春奈は言葉を出すのもためらう。
「でね、えーっと・・・」
以前、リビングで光を押し倒して泣かれてしまった苦い経験もある。
「光の母菜穂子の写真の前で」と、反省した記憶もある。
「でも・・・」
春奈は、スリスリをためらいながら見る光は、実に気を引く。
そして、光の母菜穂子の写真を、恐る恐る見る。
「ねえ、菜穂子さん、ちょっとだけ・・・光君・・・いい?」
「最近、スリスリしていなくてね、実に寂しくてね」
春奈の目に、菜穂子が笑ったような感じがした。
そして、声まで聞こえて来たような感じ。
「いいよ、春奈さん、光と少し離れて、ルシェールに取られたみたいで、がっかりしていたんでしょ?」
「あまり手荒なことをしない程度にね」
「たまにはいいんじゃない?」
春奈は、「あまりにも手前味噌な菜穂子さんの声にしてしまった」と思ったけれど、そう思ったら身体が火照って来てしまった。
そして、そうなった時の春奈は、動きを我慢することが出来ない。
「ねえ、光君、こっち向いて」
少し声がかすれたけれど、そのまま光の近くに進む。
光は、春奈に振り向いた。
「え?だから何?」と面倒そうな顔。
春奈は、その「面倒そうな顔」が気に入らなかった。
「うるさい!」の一言。
そのまま、光を抱きしめてしまう。
バタバタと動く光を、一喝。
「ほら!そこでうろたえない!」
「素直に、そのままになさい!」
観念したのか、光は大人しくなった。
そして涙が出るようなことを言う。
「春奈さんの身体って、柔らかくて温かい」
「すごくホッとする」
そして、光も春奈の背中に腕を回す。
春奈は、うれしさついでに、「キスも欲しい」と思う。
すると、光も何かを感じたらしい、
その顔を動かしている。




