光の口から、意外な曲が・・・
夕食と雑談が終わり、斎藤は名残惜しそうに楓に手を振って帰って行った。
楓は、いつものように大騒ぎも、暴飲暴食もせず、実に品よく光の父の部屋で眠り、翌日の午前中に光たちに品川駅まで送られて、スンナリと帰って行った。
家に戻り、涙で見送った華奈が光に。
「楓ちゃん、ほんとうにきれいになったね」
光は、いつものボンヤリが復活。
「うん、そうかなあ、別人みたい、やせたからでしょ?」
ルシェールは呆れた。
「何故、やせたかを、結局理解していない」
「光君に、恋心を期待しては無理が、よくわかる」
そんな光に由香里が尋ねた。
「ねえ、光君、学園の文化祭は何を?」
「去年は軽音楽と合唱とクラシックのジョイントコンサートみたいだったけど」
光は少し思案顔。
「うーん・・・そんなに変えたくなかったけれど」
「ダンスをいれるかなあって」
春奈がムッとした顔。
「スクールアイドルをやるかなあって話が出ているの」
ソフィーもご機嫌斜め。
「これは、年上差別なの」
由香里は、にっこりと笑う。
「それは、仕方ないですねえ・・・うん」
そして光に。
「ねえ、私、去年まで学園のダンス部、指導していい?」
「出たくもあるけど?」
光は、「え?」と驚いた顔。
「うーん・・・いいかなあ・・・由香里さんなら」
「美人だし、スタイルもいいし、もちろんダンスは上手」
と、実に簡単にOKを出してしまう。
華奈は焦った。
「そうなると・・・私はセンターを狙っていたけど?」
柏木綾子もため息。
「伝説の美少女の由香里さんだよ、スタイルが最高、特にあの美脚」
「男の子は大喜び、女の子も見たいと思うよ」
キャサリンも反応した。
「私も踊る、由香里さんとなら」
サラは由香里の手を握る。
「踊りを教えて!ギリシャに帰っても流行らせたいので」
春麗も由香里に頼み込む。
「できれば、ダブルセンターで」
「私も踊りには自信があって、由香里さんとなら、勉強になりそう」
由香里は、にこやかにクールサインで応えている。
ルシェールが光に尋ねた。
「曲は何曲?」
「神田明神で踊った時は一曲だった」
光は、少し考えた。
「三曲くらい」
「その後に。軽音楽とも合唱も音楽部との演奏もあるから」
「なるべく有名で誰でも知っている曲」
「あまりスクールアイドルのオタク風なのにはしたくない」
「金曜日のおはようとか、君の彼女とか、君色に染まるとか」
「青空Jumping Heartは入れるかなあ、booo!もいいかも」
何より巫女たちは、光の口から、そんな曲が出て来たことに驚いている。




