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楓の恋(5)

相当不安になったのか、斎藤が夜に光の家に尋ねて来た。

「ごめんね、急に、プラネタリウムが見たくてさ」

光は、笑う。

「斎藤さん、柔道以外は実に、慎重派だよね」

斎藤

「いや、楓ちゃんとデートする場所の下見をしようかなと」

光は、頷いてアパートの屋上に設置したばかりのプラネタリウムに誘う。


それを見た巫女たちは、様々。

春奈

「私の前より笑顔が自然だ」

ソフィー

「それは春奈さんが、光君を叱り過ぎるし、皮肉を言い過ぎるから」

由香里

「いや、それはソフィーも似たようなもの、それより斎藤君のオタオタした顔が面白い」

由紀

「そうだよね、学園の柔道部の時は、周囲を雰囲気だけで威圧していたもの」

華奈

「それが光さんに、軽く投げ飛ばされて、光さんだけには頭を下げる」

ルシェール

「でもまさか、斎藤さんが楓ちゃんとねえ・・・」

柏木綾子

「でも、お似合いって感じ、絵になる男女」

キャサリン

「何とかまとめたいなあ、楓ちゃんと斎藤さん」

サラ

「楓ちゃんの泣き顔って、実に悲しそうな顔になる」

春麗

「ねえ、私たちもプラネタリウム見に行こうよ」

と、結局、お邪魔虫巫女も、プラネタリウムを見に行くことになった。


光は予想外の人数になったものの、説明をはじめた。

「まずは、各星座とかを含めて、相当正確に見えるようにしてもらった」

「父さんと岩崎さんが図面を交換し合ってね」

「超高速PCとも連動、星とか光線の分析も即時に可能」

「これで、杉並も高いビルが無いから、かなりきれいに見える」


斎藤は、まず星座の美しさに見とれた。

「ロマンチックで、そしてすごく奥深い」

「数十億光年の光もある」

「既に消滅した星もある」


光は哲学的な言葉。

「数十億光年の最後の消滅時の輝きを、心して体感するのも、何とも言えない」

「世の無常の、それも計り知れない流れ、人間一人の時間など、実に芥子粒のように思える」

「でも、その芥子粒ひとつも、どれも大切な命の証し」

「それ以外の言葉の表現は難しい」


斎藤も光の言葉が、心に響いたようだ。

「言葉で言えない境地、無にも通じる」


ルシェールが、静かに全員に温かい甘酒を配りながら、光に促した。

「仏教で弥勒菩薩とあるけれど・・・数十億後に現れる如来とか」


光が答えた。

「かの菩薩の意味は、どんなに絶望しても、どんなに時間が経っても、必ず御仏が救いに来ると言うこと」

「だから、絶望はする必要はないということ」

「あまり、数十億年との言葉に落胆する必要はないよ」

「どんな人間であっても、見捨てられることはない」

珍しく、光は真面目に仏教解説を始めている。

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