厚顔ワグネリアンVS年増組(4)決着
その顔は恍惚そのもの、衣服は泥とゴミだらけとなった、厚顔ワグネリアン宮川が井の頭公園の池に浮かんでいる。
そして、警察により池から救出される様子を、多くのマスコミや見物客が押し寄せて見ている。
ヒソヒソ声も聞こえてくる。
「どうしちゃったの?あの人」
「至高の芸術ワーグナーって、いつも金髪でキンキラキンなのに」
「お金持ちで、女狂いとか?」
「さっき見たネット動画で、ズボンの前が半開きで、大声でわけがわからない歌を歌ってた」
「あの人のお父さんは有名な合唱の先生だよね」
「うん、小学校の音楽の教科書に乗ってた」
「ワーグナーねえ・・・よくわかんないや」
「あんな変な人に凄いって言われても、オペラなんて見たくなくなるよね」
「メチャ高いし、超長いしさ」
さて、見事にワグネリアン宮川を退治した年増組は、意気揚々と光の家に戻って来た。
弁財天
「まあ、今後立ち上がれない程度にしたよ」
白蛇精
「ノイシュバンシュタイン城、よくわからなかったから、そのまま締めちゃった」
ソフィー
「心配ないです、ノイシュバンシュタイン城で、肌も露わな豊満な若い美女に抱かれていると、本人は思っていますので」
「ただ、頭の中には、ジークフリートの愛の死のテーマが」
「それでも、恍惚状態の彼には、甘美なだけ」
晃子
「学園理事会でも、あまりの失態で完全除名決議になりました、次の理事を探すとのことに」
春奈
「それにしても媚薬が効いたなあ、実は素直なタイプかなあ、苦労を知らないお坊ちゃまか」
弁財天
「ついでに、池の泥とゴミを、すりつけておいた」
「人間ゴミだね、ああなると」
白蛇精
「何の鍛錬もしていないプヨプヨだった、今でも気持ちが悪い」
ソフィー
「今後は、脱税疑惑、ゴーストライター疑惑、セクハラ疑惑、詐欺疑惑、何でもありの暴露記事をしかけます」
春奈
「関連マスコミからも、損害賠償かなあ、破産するね、きっと」
・・・・などなど、大盛り上がりとなる年増組に、ルシェールが紅茶を配りながら、にっこりとお礼。
「本当に面白い解決でした、さすがですねえ」
すると白蛇精が、光にグイと迫る。
「ねえ、光君、お礼が楽しみなんだけど」
弁財天も、満面の笑顔。
「うん、あまり高いものでなくてもいいよ、光君の気持が欲しいだけ」
晃子は、光の腕を組み、胸も密着させる。
「厄介者がいなくなって、その上、光君の飛び切りのお礼?興奮しちゃうなあ」
春奈は、焦れた。
「さっさと言いなさい!このノロマ!」
しかし、ソフィーは途中から、光の意図を読んでいたらしい。
「このリビングにのどこかに竹刀はないか、木刀でもいい」
と、探し始めている。




