お迎えのバスでは、和気あいあい
光と巫女たちが、神田明神前でお迎えのバスに乗り込むと、岩崎義孝、孫の華、望月梨花が乗っている。
岩崎華は、華奈と柏木綾子を見つけて、本当にうれしそうな顔。
三人で最後列に座っている。
光は、岩崎義孝に頭を下げた。
「すみません、わざわざ」
岩崎義孝は、笑って首を横に振る。
「いやいや、丼飯で趣向を凝らしたんで、お楽しみに」
そして、由香里の顔を見た。
「お父さんの江戸の大親分の屋形船でね、その上で丼飯パーティー」
由香里は驚いた。
何しろ、全く聞いていなかったから。
「となると・・・隅田川をクルーズ?」
「その料理が丼飯ねえ・・・」
望月梨花が、趣向の一部を紹介する。
「はい、由香里さんのお父様に声をかけたら、大喜びで」
「つまり、丼飯と、その上に乗せるものを楽しむってことだろって」
「料理人は、基本的に築地とかの下町の人でとか」
光は、ニコニコとし始めた。
「そうなると、元気が出る庶民の味かなあ」
ルシェールは、下町から、また発想が出る。
「佃島の佃煮とか・・・深川丼?」
その深川丼に、キャサリンが反応。
「もしかして・・・アサリ、ハマグリ、アオヤギなどの貝とネギなどの野菜などを煮込んだ汁物を米飯に掛けたもの?」
「写真で見ただけで・・・マジに美味しそう」
サラは、お腹が鳴った。
「うーん・・・いいなあ、日本料理・・・」
春奈が、また別の反応を示す。
「もし貸し切りの屋形船なら・・・あの下町独特の・・・」
ソフィーが春奈の心を読む。
「もしかして・・・月島のもんじゃ焼きを?丼ではないよ」
望月梨花が笑った。
「大丈夫、箸休めで、すでに準備済みです」
春麗もうれしそう。
「もしかして、神田明神前で踊ったから、御褒美かなあ」
華奈も、すぐに納得。
「あれは楽しかった、またやりたい」
柏木綾子も、頷く。
「一曲で残念、何曲かやりたい」
由紀は、少し考える。
「そうなると歌の指導は私、踊りの指導は由香里さん」
由香里も笑顔で、由紀にクールサインを送っている。
さて、そんな和気あいあいとした状態で、バスは銀座近くの浜離宮に到着。
その入り口で、由香里の父、江戸の大親分が立って待っている。
「いやーー!待っていました」
「準備は完璧」
そしてソフィーに頭を下げた。
「警備は、子分にやらせます」
「ご心配なく」
ソフィーも「大親分なら安心できる」と、笑顔。
さて、全員が屋形船に乗り込むと、光が上空を見上げた。
「少し面白いゲストが来るかも」
その光の言葉が終るか終わらないうちに、上空に薄いピンク色に輝く雲が浮かんでいる。




