警察官の田島源一取り調べは続く。 財閥当主の激高
警察官は田島源一にさらに尋問。
「ところで、貴方の身体には複数と言うよりは、かなり多い傷がある」
「古いもの、比較的新しいもの、まだ血がにじんでいるものがあるけれど」
「警察の見立てでは、これは鞭によるもの」
「その鞭を振るったのは、誰なのか」
田島源一は、その顔を下に向け、全く答えない。
警察官は、さらに尋ねる。
「この鞭の跡は、自分ではつけられない」
「となると、他者から鞭で打たれたことになる」
「暴力行為の疑いが発生している」
「その相手を答えないならば・・・警察当局はお屋敷に入って、鞭の確認を行うことになるが」
田島源一は、震えあがった。
そして警察官に懇願。
「いえ・・・あの・・・私の不手際からくる懲罰であって・・・」
「全ての責任は私なのです」
「私自身が被害届を出すことはありませんので・・・決してお屋敷に捜査に入るなどは行わないでください」
警察官の表情が厳しい。
「つまりお屋敷にはいることが都合が悪い」
「ということは、お屋敷の中に、鞭につながる何かがある」
「それを考えれば、鞭で叩いたのは、お屋敷の中の人間ということになる」
田島源一の顔がますます青い。
警察官は、尋問を止めない。
「あなたに鞭を振るえるとなれば、まず浮かぶのが、お屋敷内であなたよりも上の立場の人」
「そうなるとお嬢様、財閥の三男の人、その奥様はお亡くなりになっているのでありえない」
「ただ、財閥の三男の人は、長期アメリカに出張中」
「お屋敷にいるのは、お嬢様と田島源一、それから料理を担当する女性が二人」
「その中で、田島源一が被害届を出すことを拒むのは、お嬢様だけなのでは?」
田島源一の顔は、青くなったり赤くなったりを繰り返す。
「いえ・・・あの・・・とにかく、この状況では困るのです」
「お嬢様は、財布をお持ちではないですし、家までの道もわからないはず」
とにかく、「お嬢様」をかばいたいという気持ちが、強いようだ。
警察官は、少し呆れた。
「田島源一、そこまで傷をつけられ、つまり折檻をされてまで、お嬢様をかばう理由は何か」
「田島源一だって、柔道界ではその名前が知れた人間」
「どこの学校でも団体でも、採用はあるはず」
そして、声を低くする。
「どうしても、そうしなければならない理由があるのか」
・・・・・・・
警察官の田島源一への尋問が続いている中、光と巫女たちの一行は、楽器店の女性店員から「別室」ということでレッスン室にて、訪問者があった。
岩崎華の祖父と言う大財閥の当主だった。
その大財閥の当主は、レッスン室の扉を開けるなり、激高。
「おい!そこのガキ!それから女ども!」
「この俺の孫を監禁したのか!それから田島源一が逮捕?」
「ふざけんじゃねえ!この下郎ども!身分をわきまえろ!」
「お前たちが無礼をしたんだろう!それで首を絞められて警察沙汰?」
「おい!名前と学校を名乗れ!お前らこそ無礼罪で逮捕だ!」
とにかく、激高して光と巫女たちを罵倒し続ける。