レセプションでは様々
光のプロデヴュー、初リサイタルは全聴衆を魅了し、終了した。
その後、小ホールのある同じビルで、レセプションとなった。
光は、レセプションの開始に先立ち、御挨拶をする。
「本当に皆さま、プロとしての初めての演奏でしたので、少々緊張しましたが、無事に終わることが出来ました」
「これも皆さまのお陰です、心より感謝申し上げます」
定番の挨拶文句になるけれど、全員が光を笑顔で見つめている。
挨拶を終えた光は、様々な客の相手をする。
首相や官房長官などの政治家と話をしたり。外国大使に握手を求められたりもする。
それ以外は、やはり音楽家たちが光を囲む。
光も懸命にその相手をしている。
さて、そんな光の姿を見て、春奈は不安。
「実は、相当疲れている、健気にお相手をしているけれど」
同じクラスの由紀も不安でならない。
「ねえ、春奈先生、なんとかスキを見て、こっちに連れて来ましょう」
華奈も不安らしい。
誰かからOKが出れば、突進して確保しようと思っている。
そこで由香里が機転を利かせ、学園長にスピーチを依頼した。
学園長も光の状態がわかっていたので、二つ返事でステージに乗り、スピーチを始める。
「はじめまして、光君が通う学園で学園長をしております」
「我が学園の誇るべき光君のプロとしての初演奏をお聞きいただき、本当にありがとうございます」
「光君は、今後、プロとして、また音楽大学の学生として、様々な研鑽を積むことになるのですが、我が学園においても多大な貢献をしてもらいました」
「とにかく学園内の様々な問題を鮮やかに解決、生徒や教師の不安をやわらげ、また希望を与えてもらいました」
・・・・・と、学園長のスピーチは長く続き、レセプション出席者の関心は、学園長に向く。
そして、ルシェールが「華奈ちゃん、お願い」と声をかけた瞬間、華奈は光に向ってダッシュ。
「光さん、話がある人が、あっちにもいる」
光は、いきなりの華奈に驚くけれど、ホッとしたような顔。
「華奈ちゃん、助かった」と、そのまま華奈の手を握る。
光に手を握られ、真っ赤に顔を染めて歩き出した華奈に、母親の美紀は厳しい。
「どうしてルシェールに遠慮するの?どうして自分でタイミングをはかれないの?」
ソフィーは笑った。
「でも、あれが子供時代からの構図、全く変わっていない」
キャサリンは、途中から華奈と光は見ていない。
「ねえ、楓ちゃんは?こんなに美味しい食べ物がたくさんあるのに」
サラが、楓を発見、笑い出した。
「あそこ、柔道の斎藤さんの前で、真っ赤になってモジモジしている」
春麗は興味津々。
「へえ、例の熊さんカップルだねえ、お邪魔したら怒られるかな」
さて、光は華奈と手を握り、巫女たちの前にたどり着いた。
華奈は、超ニコニコ。
「はい、永遠のカップルの誕生でございます」
ルシェールは呆れた。
「華奈ちゃんの永遠は、その時限りの意味」
ただ、光はやはり疲れていたらしい。
椅子を見つけて、座り込んでしまった。




