難しい話し合いの後は、それぞれ
結局、望月梨花は「光の公式ファンクラブ設立」は断念、岩崎義孝と孫娘の華と帰るしかなかった。
その帰りの車中で、岩崎華は数少ない友人の華奈と柏木綾子と仲良く出来たので、相当スッキリとした顔。
「光さんのお家に来ると、本当に気持ちがいい」
「光さんは素敵だし、華奈ちゃんも綾子ちゃんも、私の家柄なんて関係なくギャルズトークをしてくれる」
「ほかのお姉さまたちも、時々は厳しいけれど、いろいろ親身に教えてくれる」
「信州旅行も一緒に行けるし、楽しみだなあ」
望月梨花は、その華の笑顔がまぶしい。
「こんなに自然に笑う華お嬢様は、初めて」
「いいなあ、華さんも光君の集団に入れたんだ」
そして、イマイチ、集団に入りきれない自分が情けない。
「あれほどの美女、美少女たちに囲まれていると、どうしても気後れする」
「全員が口八丁手八丁だしなあ」
「公式ファンクラブだって間違ったことは言っていないのに」
「私の説得力にも陰りが出たのかなあ」
その望月梨花を岩崎義孝が慰める。
「まあ、光君は、難しいさ」
「背負っている問題が大きすぎる」
「今は、恋愛とか女性関係を作るとか、そんな状態ではない」
華が、夢見るような顔。
「私も、光さんを支える人になりたいなあ」
「少しでも光さんを支えてあげて、華さん、ありがとうって言われたら・・・幸せ、やさしく微笑まれたら、泣いちゃうかも」
望月梨花は、また驚いた。
「あの我がままな華お嬢様が、支えたいなんて・・・信じられない」
「でも、そうだよね、あの可愛い光君に、そんなこと言われたら、私だって胸がキュンキュンするかも」
さて、光は、そんな車中の思いなどには無頓着。
「今日はある程度の話が進んだから、散歩でもしたいなあ」とポツリ。
それでも、ルシェールの顔を見て、「いいかな」と尋ねるくらいはする。
ルシェールの返事も早かった。
「いいよ、光君、気分転換したいんでしょ?」
「で、どこに行きたいの?」
光は、恥ずかしそうな顔。
「近くの井の頭公園」
「つまらないと思う人は、好きにしてていい」
ソフィーが笑い出した。
「無理、みんな行く気になっている」
春奈は、さっと光の右腕を組む。
「うーん・・・久しぶり、ねえ、光君、おでん食べたい」
華奈も負けなかった。
光の左腕を組む。
「甘酒も捨てがたい」
ルシェールは呆れた。
「そういうことをするから、光君は疲れるのに」
しかし、春奈も華奈もめげない。
春奈
「これは奈良町出身者の特権」
華奈も深く頷いている。




