光vs暴言少女(3) 何故かやさしい光と、分析する巫女たち
赤いドレスの女の子は、事態の急展開に全く反応ができない。
何しろ、まさか付き人が逮捕されるなどは、予想外だった。
そんな赤いドレスの女の子に、光が声をかけた。
「あの、僕が言うべきではないと思うけれど」
赤いドレスの女の子が、震える顔のまま、光を見る。
光は、冷静そのものの口調。
「ここは、いろんな人が歩いているお店なの」
「そこに座り込んでは、歩く人の迷惑になるよ」
赤いドレスの女の子は、そう言われても震えるだけで、なかなか立ち上がることができない。
すると光が赤いドレスの女の子の前にしゃがみこむ。
そして、そのまま赤いドレスの女の子の手を取り、立ち上がらせる。
光はやさしい言葉。
「あの、お名前は?」
赤いドレスの女の子は、顔を赤らめるけれど、実に素直。
「あ・・・岩崎・・・華と・・・」
光は、またやさしい。
「別室を用意してもらって、そこで休んだらどうかな」
赤いドレスの女の子、岩崎華は意味不明な様子。
「え・・・あの・・・わかりません」
言葉使いも、いつのまにか丁寧なものとなっている。
光は、やさしく微笑む。
「あのお付きの人が、財布とかを持っていたのでは?ここには車で来たのかな」
岩崎華は、そこで真っ赤な顔。
「あ・・・すみません・・・気を使っていただいて・・・」
そのやり取りを、ほぼ「苦々しい顔」で巫女たちではあるけれど、それでも教師の春奈が女性店員に声をかける。
「ごめんなさい、あの暴言高飛車娘が、お金を持っていなくて、おまけに運転手のお付きの人かな、暴行罪で連行されたので、別室を用意できますか?」
女性店員も、それはすぐに察した。
「わかりました・・・別室という別室はありませんが・・・レッスン室なら空きがございますので」
即座にレッスン室の予約を行っている。
ソフィーは苦々しい顔を変えない。
「マジで光君って優しすぎる時がある、私には冷たい時があるのに」
華奈は、文句タラタラ。
「私なんて、滅多に手なんて握ってもらわない、それを、あんな暴言吐いた女の子の手を光さんから握るの?光さんはアホだ!」
ルシェールは、それでも分析。
「メチャ気に入らないけれど、光君は楓ちゃんの暴言に鍛えられて育った。だから少々の暴言は包み込んでしまう」
由香利も、ルシェールの意見に同感。
「うん、確かに楓ちゃんの暴言に比べれば、あんなのは子供だまし」
由紀はいつもの通り冷静。
「レッスン室かあ・・・私たちも入るよね、光君に何か弾いてもらおう」
とまで言って何かを思い出したかのように、柏木綾子の顔を見る。
柏木綾子
「思った通りでした、光さんの御力が、手を握った途端、あの女の子を癒してしまいました。今は全く普通の女の子です」
キャサリンは柏木綾子の言葉に驚く。
「そこまで読んで、素晴らしい御力が見られると言ったんだ」
サラの目が柏木綾子の笑顔に反応。
「ただならない・・・この綾子ちゃん、諏訪大神の霊気が満ちている」
春麗は、じっと柏木綾子を取り巻くオーラを凝視している。