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光に公式ファンクラブ結成?春奈の思い

二階の大広間では、光と岩崎義孝が深刻な話をしているけれど、一階のリビングはお菓子パーティーになっている。

そして、その原因は大手広告会社の望月梨花が大量のクッキーやケーキを持って訪ねて来たため。


春奈が、実にうれしそう。

「いいよ、岩崎さんには悪いけれど、光君は小食だから」

岩崎華

「私のお祖父さんも、あまり甘い物は・・・」

ソフィー

「自分たちだけで勝手に難しい話をしているのが、悪い」

由香里

「少しだけ残して食べちゃおう、それでいいよね」


由紀は、それでも望月梨花に訪問の趣旨を尋ねた。

「ねえ、梨花さん、お菓子持って来るだけが目的ではないですよね」


望月梨花も結局持ってきたお菓子を食べてしまい、目的を忘れていた。

「あ、そうだった、あのね、光君と話をしたくてね」

「お菓子は、人数がこのお屋敷に多いから、余分に買っただけ、食べちゃったけど、まあ見立てがいいのかな、実に美味しい」


華奈が、疑惑の目を望月梨花に向ける。

「ねえ、梨花さん、私の光さんに何の用事?私の了解を求めてください」


望月梨花は、「その私の光さんとか、華奈ちゃんの了解って何?」と思うけれど、ようやく目的を語りだす。

「あのね、この間の東京駅の演奏でね、私の会社に問い合わせが多いの」

「録画していた人も多くて、それが動画サイトでヒット数が多くて」

「女子高生とか、女子大生が光君のファンクラブを自主的に結成するのが、何個もある」

「となるとね、最初に整理をしておいたほうがいいかなあと」

「その話なの、公式のファンクラブ結成をなるべく急ぎたい、混乱になると面倒」


さて、それを聞いた巫女たちは、全員が気乗りがしないようだ。

春奈

「難しいと思うよ、光君だもの、女性扱いはド下手」

ソフィー

「アホで無粋、女心のカケラも理解できない」

由香里

「下手に迫ると走って逃げる、その逃げ足だけはメチャ速い」

華奈

「手をつないでもらいたいと思って、ずっと雰囲気を出しても、家に帰るまで気がつかない」

由紀

「これから秋冬になるでしょ?風邪とかインフルエンザ予防で、光君は顔の半分はマスクで隠す、そんなファンクラブ意味があるの?」


キャサリン

「私たちの警護も大変になります」

サラ

「国際問題になっても困りますしねえ」

春麗

「私たちが苦労しているんだから、下手に公式ファンクラブを作っても、逆に評判を落とすのでは?」


ずっと黙っている柏木綾子も難しい顔。

「総合して考えれば、光さんには、そういうファンクラブ対応は向かないと思うんです、今は演奏に専念したいのでは?」


ルシェールが、柏木綾子の答えに満足して、話をまとめる。

「確かに最初からファンクラブが出来るのは、幸せな演奏者」

「プロとして望ましいし、ありがたい話」

「でも、光君は、自分が輝くよりは、音楽を輝かせる、それによって聴く人の心を輝かせたいと思う演奏者」

「ファンの人の私的なファンクラブは結成は止められませんが、公式は時期尚早かと・・・」


少し落胆する望月梨花と、公式ファンクラブを否定する巫女たちを見ながら、春奈は思った。


「去年の夏前の光君なんて、超地味で帰宅部、夏はグラウンドですぐに倒れ、何度も保健室で面倒を見たのに、生徒の中で光君を心配する人はいたけれど、ファンになる人がいるなんて考えられなかった」

「ここまでになるとは・・・ルシェールもいろいろ上手だし」

「でも、あの頃の光君のほうが、可愛かった」


春奈は、なかなか複雑、そして少し寂しさを感じている。

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