華奈は永遠の妹を狙う?
阿修羅は言葉を続けた。
「この状態で、地球上の善も悪もない」
「そのまま、地球より大きな大隕石が衝突すれば、地球の全てが消えるのだから」
「そうかといって、現時点で他の星に移住する技術もなく」
阿修羅の言葉は、聴いている巫女たちに実に重い。
華奈が、シクシクと泣き出した。
「これは、地球への罰なの?」
「よくニュースで言っているような、自然破壊とかの」
「やだよ、そんなの」
「悪いことばかりしているわけではないもの」
キャサリンが震える華奈の肩を支える。
「戦争も多く、虐殺も多く、自然破壊も多いのは事実」
「警告を鳴らしても、聞く耳を持たない」
「宇宙を司る神からすれば、懲罰して、滅ぼすべき星なのかな」
キャサリンも、珍しく泣きだしている。
阿修羅は、巫女全体の顔を見た。
そして、少し微笑む。
「全て、対策は光君の頭の中にある」
「言い換えれば、この阿修羅は光君と、共にある」
「光君を信じることは、阿修羅を信じること」
阿修羅は、そこまで語り、再び胸の前で合掌、光の姿に戻った。
すると華奈が光に突進。
思いっきり抱きついて泣き出す。
「光さん!」
「私は、ずっと信じる!」
「大好きなの!」
しかし、光は阿修羅から戻ったばかりなので、ぼんやりしている。
「うーん・・・あれ?華奈ちゃん?」
「どうして泣いているの?」
「しょうがないなあ、まるで子供のころの華奈ちゃんと同じ」
ルシェールは、そんな光と華奈が面白い。
「あれは、幼稚園の時の構図」
「華奈ちゃんは、お母さんの美紀さんに叱られたり、楓ちゃんにコテンパンにされると、必ず光君に抱きついて泣く」
「光君は、おっとりしているから、何のことやらで、背中をなでるだけ」
春奈が光と華奈に声をかけた。
「ねえ、寒くなってきたから、お茶しない?」
ソフィーも春奈に続く。
「クッキーとお茶で、どうかな」
光は、笑顔で華奈に、「そうしよう、華奈ちゃん」と声をかけると、華奈はうれしくてしかたがない。
「はーい!光さんの言うことなら何でも!」と、ようやく抱きつきをやめて、一緒に歩き出す。
ルシェールは、また苦笑。
「永遠の妹かな、見ていて可愛い、華奈ちゃん」
少し呆れていた由香里も同感。
「そうだね、面白い、何でも直接的、直感的で」
由紀も仕方ないかなと笑う。
「お嫁さんは難しくても、妹ならチャンスがあると思っている」
「とにかく光君から離れたくない華奈ちゃんとしては、賢明な選択」
柏木綾子は、その華奈がうらやましい。
「私も妹になりたいなあ、今の状態は、学校の先輩程度だもの」
キャサリン、サラ、春麗は、クッキーとお茶を準備するらしい。
小走りに二階に向かっていく。




